~side綾音~
やばい・・・。
朝起きた綾音は、一番最初にそう思った。
起きるはずだった時刻から1時間の寝坊。
いつもより少し早めに、なんて思っていたのに・・・。
余裕を持つどころか、遅刻してしまいそうな時刻だった。
まぁ、今から荷物を準備して家を出ればまず遅れることなくなんとか試験会場には着ける。
しかし、綾音は仮にも女の子だ。そこに知り合いがいなくても、スッピンのまま行くのは憚られる。
女性にとって化粧は身だしなみであり、やらなければいけないものだ。
男の子に生まれてればこんなことしなくてもよかったのに。
ブツブツとそんなことを呟きながら綾音は洗面台に立った。
10分位だろうか、残り少ない時間をここで費やして、家を出た。
試験会場に着く。
時計を見ると、5分のオーバー。
許容範囲かな。模試だし。そんなことを思いながら、教室のドアをそっと開ける。
「すいません、遅れました」
俯いている試験官の人にそういった。
試験官の人が顔を上げる。
「あ・・・」
その試験官の顔を見たとき、思わず言葉が漏れた。
その人は見覚えがあるなんて言葉じゃ済まされないほどの人。会うことができなかった愛おしい人だった。
こんな偶然って・・・。
悠太も驚きの表情を浮かべている。
けれど、悠太はすぐにその表情を消し、平静を装って綾音を席に誘導する。
「ここに座ってください」
悠太の声。久しぶりに聞いた。優しく包み込むような声・・・。
「はい」
綾音は席に座った後、元の位置に戻る悠太の後姿を目で追う。
ドクン・・・ドクン・・・。
胸が高鳴った。
その高鳴りはなかなかやまない。
偶然の再会。それはどこか必然のような気がした。
二人はどこかで繋がっているんだ。
そんなロマンチストみたいなことを考えた自分に内心肩をすくめて苦笑する。
なに言ってんだか。
この恋は自分から終わらせた恋だ。これが必然だとしても、何も変わらない。
二人の関係は元に戻らない。
仮に、悠太がまだ好きでいてくれたとしても、もう一度好きとは言ってくれないだろう。
試験官と受験生という会話する機会が設けられていない物理的な理由と振られた相手にもう一度なんていう物分りのいい彼ならありえない感情的な理由と。
だったら私から言う?
それもない。
ほんとは好きでした。少し距離を置いてみたかっただけなの。
そんなこと今更言えるわけがない。
第一、悠太が好きでいてくれている保証はない。自惚れちゃいけない。
もしかしたら、今悠太には彼女がいるかもしれないんだ。
自分にそう言い聞かせ、綾音は悠太がほかの女の子と楽しそうに歩いている絵を想像する。
「っ・・・」
胸が痛んだ。
嫉妬。その感情は綾音が悠太に持ち合わせていい感情ではない。
それは分かっている。
それでも・・・理性じゃ本能を止めることはできない。
好きという気持ちは変えられないんだ。
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やられたぜwww
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あと、今日は少し短かったです・・・。。