~side悠太~
「おはよう、佐野君」
電話越しに明るい声が聞こえる。
「おはよう。朝から元気だな」
こっちはかなり憂鬱なのに。欠伸をしながら気だるそうに言った。
「なんで私、元気だと思う?」
「いや・・・全然分かんないけど」
ベッドから起き上がり、クローゼットの中を開ける。
・・・何着ようかな。
「正解は、CMの後で!」
なんてね、そう言ってカラカラと菜穂は笑う。
「・・・切るよ?」
朝からこれに付き合うのはなかなかきついものがある。
「わー!冗談だよ。なぜかというとですねー。佐野君とこうして話せているからなのです」
えへへ。照れながら笑う菜穂。
彼女の頬を赤らめた時はすごく可愛い。会った時に言ってほしかったかな。そんなことを思いながら、それはよかったです。そう答える。
「ほんと、今でも信じられないくらいだもん」
「そりゃあ、びっくりだ」
それより、電話してきた用事はなに?悠太は努めて冷静に菜穂に聞く。
「あ、忘れてたよ。あのさ、近いうちにデートしない?」
「いいよ。いつが空いてるの?」
「いつでも」
菜穂は即答した。
「そんな馬鹿な。学校あるだろ?」
「何とかなるよ!」
「・・・じゃあ、土曜日でいい?」
埒があかない。そう思って、日にちを指定する。お互いに学校がない土曜日に。
「やっぱ、優しいね」
その声は、すうっと耳の中へ入っていって、中でゆっくり溶けていく。
静かで、少しだけ高めの声。少しだけ、鼓動が高鳴った。
綾音にはなかったもの。
そんな一つ一つがとても新鮮に感じる。
常に明るかったり、物事をストレートに言えたり、言葉のトーンの上手さであったり。
「優しい・・・ねぇ」
その言葉を聞いて自嘲する。自分にそんな言葉は似合っていない。
よく、優しいと言われるけど・・・それは違う気がする。
喧嘩をしないように自分が折れたり、彼女を優先的に考えたり。
そういうものすべて、それが一番めんどくさいことを遠ざけていくものだからだ。
喧嘩をすれば、お互いに傷つく。
そんなものをもちろん願っているわけじゃない。
だから、一歩下がる。無意味に無駄に、そんなものを起こしたくはない。
・・・ただそれだけのこと。
「優しいよ。うん。絶対ね」
菜穂の言う優しさは、相手のことを考えられる人のことなのだろう。
それなら、少しは自分には当ては待つているのかもしれない。
優しいの定理は人それぞれなのだから。
でも、それは自分の後悔を生む原因にもなってる。
半端な相手への思いやりが・・・優しさが。
綾音との別れを助長してしまった、悔やんでも悔やみきれないもの。
もしも、それを優しさと呼ぶのなら、そんな優しさは・・・
「あっちゃいけないんだ」
「え?」
「いや、なんでもない。それより、今日は何限から?」
「3限からだよ!」
「そっか、頑張って」
今日学校へ行くのめんどくさくなってきたな。そう思い、悠太はベッドへもう一度寝転がる。
「佐野君もちゃんと学校来なよ?」
「・・・人をさぼりサボリ魔みたいに呼ぶな」
「佐野君が真面目だったら、みんな超がつくまじめになっちゃうじゃない」
冗談交じりに言うその言葉には少しとげがある。
「馬鹿にしてる?」
「事実を述べただけだよ」
「あっそ~」
・・・本当に自分のことが好きなのか?そんな疑問を抱いていると
「私さ、佐野君のことが好きだよ」
悠太の顔が赤くなる。
「急になんだよ?」
「何となくね」
告白の時もそうだったけど、タイミングがいいなぁ・・・。
ツボをつく彼女にドキッときた自分に苦笑する。
・・・どっちが好きなんだか。
そんな疑問を自分に問いかけながら、悠太はゆっくり目を閉じた
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励みになるので
おはようございます。
最近思ったことなのですが・・・やっぱり才能って大きいんだなって。
自分が願って届かないものが、他の人にはあって・・・。
そう考えると、自己嫌悪に陥ります。
まあ、努力もしないうちから才能だけに頼ってるのはダメなんですが・・・。
てことで、努力をした後にまたこのセリフを言いますw
今日も一日頑張って行きましょうw
次回の更新は14日土曜日。
午前7時です。