薄暗い闇夜に浮かぶ月は半分が欠けていた。
それはまるで、自分の気持ちを表しているようだ。
点々と散りばめられた空の宝石たちの輝く光はまだ淡いせいで、目に入るのは月ばかり。
悠太は壁に寄り掛かり、視線を下げる。
たくさんの人が通るこの街並みは、絶えず耳に雑音が入ってくる。
それを遮るように悠太はポケットからイヤホンを取り出して、耳につけた。
音楽プレイヤーを取り出して、何を聴こうか、そう考えていると、前方に菜穂の姿が映った。
黒髪のロングにかかる白いコート。
寒そうなスカートも白いコートとよく合っていて、彼女の可愛さをより一層引きだてていた。
さすが女の子だね。そんなこと思いながら、パーカーとジーパンの自分の服装と比較して自嘲する。
菜穂は悠太を見つけると、走りながら悠太がいる方向へと向かい
「待った?ごめんね」
手を合わせながら、申し訳なさそうに謝ってきた。
腕時計を見る。時刻は、18時55分。まだ約束の時間には5分ほどの余裕があった。
「謝る時間じゃないと思うけど?」
悠太は苦笑しながら続けて、ヒールで走ると転ぶよ、と冗談交じりにそう言った。
「待たせるのは好きじゃないんだよ」
菜穂は下唇を突き出してそう答えた。そして、悠太と同じように壁に寄り掛かる。
「ありがとね」
菜穂は顔だけ悠太の方へ向けて言った。
「なにが?」
悠太は菜穂を見ずにそう返す。
「今日、付き合ってくれて」
「別に・・・断る理由がないからね」
悠太が目を合わせない理由は二つあった。
ただ単純に目を合わせることが苦手だから。
初めての二人きり、デートみたいなこの状況で、顔が赤くならないはずがないからだ。
そしてもう一つ。
それは、後ろめたさや罪悪感。それらから来るものだった。
「てっきり、私は断られるものだと思ってたよ」
「なんで?」
「だって、クリスマスも断られたし・・・」
菜穂の表情が少しだけ曇った。
「あ、いや・・・それは」
悠太は言葉に詰まる。
と同時に、胸が痛んだ。
・・・バカみたいだな。
簡単には断ち切れないものだとは分かってはいた。
けど、それは所詮,他人の時。
いつかは、なんて都合のいい励ましばかりしてきた自分だったけど、実際に自分がその立場に立ってみると、そのいつかってのがいつなのか。そう問いたくなる。
それくらいの胸の痛さ。
「ごめん。今のはなし!どこ行こうか?」
そういいながら、にこりと笑顔を向ける菜穂。
「ん~・・・」
悠太は少し考えた挙句、何も答えが出ずに、菜穂はどこに行きたい?そう聞いた。
「え、私はどこでもいいよ」
菜穂は一番難しい答えを返してきた。どこでもいい。それが一番困る答えだ。
とは言っても。
普通、デートというものは男が行き先を決めるものだと相場で決まっている。そう考えると、菜穂の答えは当たり前のもので、行く場所を促した自分が間違いということになる。
だけど、これがデートなのかと言われたらそこも疑問ではある。
今日は、2人で遊びに行くということになっただけのことだ。
少なくとも、名目上はデートではない。なら、自分が決める必要は・・・。
いや、どちらにせよ、相手がどこでもいいといっている限り、自分が決めるしかない。
悠太は辺りを見渡しながら何があるのかを確認した。
さすがは渋谷というだけあってなんでもある。が、何もない。
たくさんの店はあるものの、特別興味をひかれるものはない。
なら仕方ない。
「じゃあ、とりあえず、何か食べる?」
何も浮かばない自分が情けない。
しかし、菜穂はそんな悠太の心情とは裏腹に笑顔を絶やさず
「うん」
と頷いた。
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