15話 ただの息抜きの相手として | love storys  ~17歳、私と君と。~

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どれだけ、時間が戻ればと思っただろう。

どれだけ、彼が愛おしいと思っただろう。

どれほど・・・

       私は君との未来を願っただろう。

ホテルに入る数時間前。


私たちはとあるレストランで食事をとっていた。


「最近仕事はどうなんだい?奈々ちゃん」


高そうなステーキを当たり前のように食べながら金平さんは私に聞いた。


「おかげさまで。たくさんの仕事をいただいております」


「それはよかった。でも、どれもこれも小さな仕事ばかりなんだろ?」


ナイフとフォークが皿に当たり、響く嫌な音。


甲高く、耳障りだった。


けど、それ以上に、この人の声、喋り方のほうがよっぽど不快だが。


「そう・・・ですね」


「で、さっきの電話でのことなんだが・・・」


「はい」


「ここにこうしてきてくれたということは、出る気はあるんだろ?」


「もちろんです」


「その返事を聞いて安心したよ。やはり奈々ちゃんは利口だ」


「せっかくいただいたお話ですので」


私は感情のない笑みを浮かべる。


まったく楽しくない食事。会話。


この業界に入ってから何度目だろう?


ただの相手のご機嫌とり。


私自身にメリットは当然あるけど・・・決していいものじゃない。


「で、奈々ちゃん。この後予定は入れてないよね?」


金平さんは、ナイフを皿の上に置いて、空いた右手で私の手を触った。


そして、舐めまわすように、ゆっくり指を動かして、触れている感触を楽しんでいた。


触れられた瞬間、鳥肌が立った。


けれど、手を引くことはできない。


引いてしまえば、相手を不快にさせてしまう。


もしかしたら、映画の話すらなくなるかもしれない。


「予定ですか?もちろんないですよ」


「それはよかった。じゃあ、もうすぐ出ようか?」


「はい。わかりました」


そうして、私たちはラブホテルへ向かった。




今回入ったところは、間違いなく前回よりも良いところだった。


高そうな外装、内装。


スペースもめちゃくちゃ広いし、なぜかカラオケついてるし。


「ふぅ・・・」


金平さんはネクタイをゆるめながらベッドに腰掛けた。


「お疲れですか?」


「ああ。今日は映画のことで立て込んでいたからね」


「そうなんですか」


「明日も忙しいから、大変なんだよ」


・・・大方、私はそのための息抜きってところか。


「頑張ってくださいね」


「ああ。奈々ちゃんみたいな可愛い子に言われると、頑張れる気になるよ」


笑いながら金平さんは言った。


「ありがとうございます」


機械的な私の対応。


感情は入れていない。


けど、入れているように見せかけている。


無愛想じゃこの世界はやっていけない。


・・・16歳で芸能界の裏を語る私。


なんだか私じゃないみたいだ。


数年前はただの平凡な女だったのに。


「じゃあ、私は先にシャワーを浴びてくるから、奈々ちゃんは休んでて」


「わかりました」


金平さんは、シャワールームへ消える。


私は、それを確認した後で、携帯を手にとり、開いた。


慣れた手つきで、画像を探し、私はそれをボケっと眺めた。


その画像は、私と玲の2人で撮ったプリクラの写真。


満面の笑みの二人を前にして私は


「なにしてんだろ・・・」


消えそうな声でそう呟いた。



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