10話 曖昧なもの | love storys  ~17歳、私と君と。~

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どれだけ、時間が戻ればと思っただろう。

どれだけ、彼が愛おしいと思っただろう。

どれほど・・・

       私は君との未来を願っただろう。

物音ひとつ聞こえない深夜の街は不気味だった。


昼間や夜、人でにぎわっている商店街にも人はいない。


家の電気もほとんどが消えている。


つまらない深夜。


店も閉まっていて、開いているのはコンビニくらい。


何をしようか・・・。


星空を見上げ、歩を進めながら僕は考える。


星を見ながら歩いていると、一緒に星も動いているように見える。


実際には錯覚にすぎないのだが、その光景が何だか不思議だ。


まるで、僕を中心に星たちが動き、周っているようで。


それは太陽や月にもいえることだ。


あれらも自分が動くとついてくるかのように一緒に動く。


どれだけ遠くへ行っても360度のどこかには必ずいて、視界に入ってくる。


小さい頃、これは僕にとってはミステリーだった。


電車で移動しているときに、窓から外を眺めていた。


近くにそびえ立つ家とかビルとかはすぐに視界から消えていって新しいものが現れて行くのにもかかわらず、太陽だけはずっと僕の目に届くところにある。


一定の距離感を保っているんだ。


あれは驚きだった。


理科という科目が苦手だった僕にとっては特に。


今でも、その理屈はいまいち理解できていない。


理科が苦手なままだから。


高校に入って、文系のコースを選択していた僕には必要ない。


宇宙。


そんなスケールが大きいことは今の僕にはどうでもいいこと。


知っても何にもならない無意味な知識だ。


でも、確定的な事実として断言できることがある。


それは無意味な知識なんかではないことだ。


必要な情報、知識。


僕は一度目を閉じて、ゆっくりと開く。


視界に映るのはさっきまでと同じ景色。


暗く閑散とした街並み。


この今見ているものすべてが正しいものであるとは限らないということだ。


星のことでもそうだが、人間の目はすべて正しいものを映しているとは限らない。


もしかしたら、目の前にある家の色は白ではなくて青であるのかもしれない。


霊が目の前にいるのかもしれない。


自分たちが見ているものは曖昧なものなんだ。


だから、今見ている景色を完全に鵜呑みにしてはいけない。


人間の情報の8割は目から入ってくるもの。


でも、その情報の一つ一つ。


疑っていてはきりがないけど、間違っている可能性だってあるんだ。


歩いていると、桜並木の通り道に出た。


街灯に照らされている満開の夜桜はとても綺麗だった。


「この・・・夜桜も」


もしかしたら、正しく見えていないのかもしれない。


そこまで考えてしまう僕はもしかしたら病んでるのかも。


ふと、遠くの方に人影が見えた。


その人影は徐々にこっちに向かってくる。


あの人影は正しいもの?


本当にそこにある存在なのだろうか?


その存在を目に入れつつ、僕は足を止めることなくゆっくりと歩く。


歩く方向はその人がいる方向だ。


少しづつ近づく二人。


街灯が相手を照らして、服が見えた。


紺の可愛らしいパーカーにスカート。


どうやら女の子らしい。


これで男だったら驚き通り越して笑えるけど。


さらに近づく。


ついに、街灯が夜桜を照らすとともに彼女の顔を照らした。


「え・・・?」


思わず足が止まった。


そして自分の目を疑った。


『もしかしたら正しくない』という概念から『絶対に違う』そんな概念に思考が切り替わった。


絶対に僕の目は正しくない。


確信できる。


だってそこにいたのは、ここにいるはずのない人だったのだから・・・。




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