97話 真っ白 | love storys  ~17歳、私と君と。~

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どれだけ、時間が戻ればと思っただろう。

どれだけ、彼が愛おしいと思っただろう。

どれほど・・・

       私は君との未来を願っただろう。

~side裕哉~


裕哉さんが好きだ。


彼女の口から出た言葉は告白の言葉だった。


その言葉はもちろん嬉しい。


でも・・なんだろう。


他の気持ちも交じっていた。


純粋な心を持ち合わせていない僕は、当然のように彼女を疑ってしまう。


「ほんとに・・・?」


聞き直すように・・・確かめるように。


ただの一時の感情の変化でこんなことを言ってしまったんじゃないかって。


「ほんと。信じられない?」


「少し・・・ね」


「なんで?」


「君には彼氏がいるから」


「・・・別れるよ。隆弘とは」


「え・・・」


言葉を失う。


と同時に言いしれぬ罪悪感が僕を襲った。


僕のせいで・・・幸せなカップルを壊してしまった。


二人の幸せな未来を書き変えてしまった。


「私は・・・裕哉さんがいればそれでいいんだ・・・」


理菜さんは僕の手をぎゅっと握る。


これが、初めて僕と理菜さんが手を繋いだ瞬間だ。


彼女の体温が僕に伝わってくる。


ドクン・・・ドクン・・・。


手を繋いでいる間だけ、僕の心は無になった。


脳の考える機能が停止した。


すべてが真っ白になって、そこから唯一考えだされることは手を繋いでいるという事実だけ。


心が描き出す感情は「幸せ」という人間の絶頂を表した感情だけ。


少しだけ疑っていたあの感情も、罪悪感を抱いたあの感情も。


すべてがまっさらになる。


嫌なことはこの瞬間、僕の頭の中から消えていたんだ。


手を繋ぐだけで・・・こんなにも・・・。


麻奈にも・・・綾香にも抱かなかった感情。


機械的に当たり前のように。


特別な感情をもtこともなく繋いでいた手。


繋いだ時に胸が高鳴ることなんてなかった。


感情は普通にコントロールできたし平常心だった。


相手が手を繋いで赤面したら、からかってキスをして。


そして赤面をさせて・・・。


彼女をどんどん自分にはまっていくように計算してやってきた。


だけど・・・。


今回だけは上手くいきそうにない。


そんな計算を考えることなど皆無だ。


思っていたことがある。


なんで、手を繋ぐだけで照れるんだろうって。


当たり前でありふれていて、友達同士ですらできる行動じゃんって。


・・・その答えは今になって分かる。


相手を本気で好きって思えるかどうか。


本気で好きって思えれば・・・きっと手を繋ぐことでさえ躊躇ってしまうようなウブな人になるんだ。


「裕哉君・・・」


彼女は繋いでいた手をゆっくりと離して、僕の方を見た。


「何?」


「私は・・・君のことが好きです。遠距離でも・・・会えなくても。君を想っていきたい!」


改札の目の前での真剣な告白。


通り過ぎる人みんなが僕らをちらっと横目で見ていく。


中には、止まって見物している人もいる。


~・・・っ!!


それが少し恥ずかしくなって、僕は


「場所変えよう・・・」


彼女の手首当たりを掴んで人気がいないところへ彼女を連れていこうとするが・・・。


そんな場所は見当たらず、とりあえずエレベータに乗った。


ここの駅は広く、建物で8階建てになっている。


僕は8と書かれたボタンを押して、ドアを閉めた。


すると、そこは数秒だけではあるが二人だの空間になる。


そこで僕は


「理菜さん・・・」


「はい?」


「僕と付き合ってくれませんか?」


告白の返事ではなく、自分からの告白をした。


ただ、その告白は理菜さんのとは違って相手を見ない告白。


エレベーターの表示を見ながらの告白だった。


3・・・4・・・。


少しずつエレベーターは上昇していく。


「裕哉さん・・・」


彼女が僕の袖を引っ張る。


「ん?」


彼女の方を見ると、彼女は上目遣いでうっすらと涙目になって


「ちゃんと目を見ていってください」


そう言った。


・・・ずるいなぁ。


6・・・7・・・。


エレベーターもうすぐ8階に着く。


僕は彼女の目を見て


「好きです」


そんな恥ずかしい言葉を言ったと同時にドアが開いた。


僕と理菜さんはエレベーターから降りて、どこへ行く訳でもなくとりあえず、歩く。


服が売っている店。


興味はなかったがとりあえず、視界にだけ入れておく。


ふと後ろを歩いていた彼女が立ち止まる。


「どうした?」


そんな声をかけながら後ろを向く。


後ろを向いた途端、僕の唇は彼女の唇によって塞がれた・・・。



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