87話 ドアの向こうで | love storys  ~17歳、私と君と。~

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どれだけ、時間が戻ればと思っただろう。

どれだけ、彼が愛おしいと思っただろう。

どれほど・・・

       私は君との未来を願っただろう。

『裕哉さんはまさか今・・・。私の後ろにいるんですか?』


『正解。その通りだよ』


彼の甘い声は信じられないことを口にする。


『なんで・・・』


『せっかくだから、直接聞こうと思って』


『何をですか?』


『返事を・・・』


『・・・』


何て言葉を返せばいいのかわからない。


だって、私はこの人を振る気なのだから。


せっかくここまで来てくれたこの人を。


ただ・・・。


『理菜さん、電話切るよ?』


『はい』


ツーツーツー。


会話が途切れる音が流れる。


しかし、私たちの会話が終わるわけじゃない。


だって今。


私と彼はドア一枚を挟んで座っている。


すぐ側にいるのだから。


ただ、見えない。


声は聞こえるけど、見えることはないんだ。


こんなにもそばにいるのに。


「ドア・・・開けてもいいですか?」


彼に会いたい。


そして、見たい。


今の彼を。


半年以上の歳月が経って、彼がどのように変わったのか。


それとも変わってないのか。


大好きだった彼は今どのような表情をしているのか。


会いたいという感情は膨らむにつれて、まずいことが起きる。


振るという思いが、感情が薄れてきているんだ。


だってこれは想定外のこと。


起きるなんて少しも思っていなかったこと。


それが起きてしまったのだから。


私が彼を振ろうとしている理由の一番は会えないから。


私たちは会えないふたり。


そう確信していたから。


なのに、それは今のこの瞬間を持って完全に崩れさった。


会えないわけじゃない。


頑張れば会えるんじゃないか?


彼がこうやってそれを証明してくれた。


温もりだって感じることができる・・・はず。


「え・・・なんで?」


「なんでって・・・。裕哉さんに会いたいからです」


「それは少し嫌だなぁ・・・」


「なんでですか?」


「僕は今日、理菜さんに会わないって決めてるから」


「え・・・」


「あ、ただ告白の返事次第だよ。理菜さんが僕を振るなら会う理由がなくなるから、このドアを開ける必要がないってこと」


「・・・ずるい」


思わず、そんな言葉が口からこぼれる。


目の前にいて・・・たかがドア一枚の壁を越えたら会える場所にいて。


そんなそばにいるのに会えないのは辛い。


「ずるいって・・・」


彼は苦笑気味に私の言葉を繰り返す。


「裕哉さんは、私に会いたくないですか?」


「会いたいですよ?」


「だったら会いませんか?」


「それは、理菜さんの返事次第だって」


また・・・揺らぐ。


何度も決意をしたのに・・・また揺らぐんだ。


二者択一のこの問題はすごく過酷で残酷で。


私を苦しめ続ける。


だけど、これを作り出した元凶は私当人であるわけで・・・。


「僕は理菜さんに会いたいよ。でも・・・お別れをするのに会うのは意味がないじゃん」


「でも・・・」


「理菜さんは今彼氏がいるんだよね?」


「はい・・・」


「そっちを取るなら、この扉は開けないで僕はここからいなくなる。僕を取るならここを開ける。この二択だから」


「二択・・・」


この二択はどんな問題よりも難しい。


私の今後を左右する大事で重い問題だ・・・。






決めたはずの決意は簡単に崩れ去る。


傾いたはずの天秤はいつの間にか平衡を保っている。


私の想いはこれからどちらに傾く?


傾いた方がいい方は決まっている。


でも、これは理屈じゃない。


好きって思いの強さは、距離なんかじゃ計れない・・・。




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うだうだと続きます。


実のところ、どっちにするか自分が一番悩んでいるのでw


ただ!!


明日ついに理菜がどちらを選ぶのか・・・。


決まります!