『裕哉さん』
『うん?』
愛おしい声は少しだけまた私を苦しめた。
でも、大丈夫。
『告白の返事、今言ってもいいですか?』
『いいよ』
同じ景色を見ていない私たち。
二人は遠く、会うことが困難な距離にいる。
だからこうやって声だけで、耳元に聞こえる音だけでやり取りをしている。
相手の表情は分からない。
今、悲しんでるのか喜んでいるのか。
そんな二人が告白が・・・とか話しているんだ。
二人が付き合うことは夢物語。
所詮は空想の世界。
交わることを許されない二人なんだ。
きっと。
あはは。そんな大それたものでもないか・・・。
『私は・・・』
『あ、でも少し待って』
言葉を彼に遮られる。
電話越しに、ザッ・・・ザッ・・・と雑音が聞こえる。
・・・なんだろ。
少しだけ疑問に思ったが、そんな疑問は今から言わなくちゃいけない言葉をまとめるのに必死ですぐにかき消される。
『どれくらいですか?』
『ん~・・・あと30秒』
『なんですかそれは・・・』
私は空を見ながら苦笑した。
空はいつも通り青い。
澄み渡った綺麗な空。
まぁ・・・空は海の色が反射してそうなっているだけなのだから青いというより透明に近いものなのかもしれないけど。
『いいからいいから』
カツン・・・カツン・・・。
今度は甲高い音が聞こえる。
彼はどこを歩いているんだろうか。
『あ、あと5秒』
そう言った彼はそこからカウントダウンを始める。
『5・・・4・・・3・・・2・・・1・・・もう言って大丈夫だよ』
『え?もう何が何だか分かんないですけど』
言おうとしていた言葉は完全に言うタイミングを見失っている。
『じゃあさ、屋上の出入り口のドアまで来て』
じゃあ?
じゃあってなんだ・・・。
『え?いいですけど、どうして私が屋上にいること知ってるんですか?』
彼は私の質問に答えることなく、指示を出していく。
完全に彼のペース。
私は今現状で何が起きているのかわからない。
だから、とりあえず彼の指示に従う。
『さぁね。来たらドアに寄り掛かって座って。絶対にドアを開けちゃだめだよ?』
『はい・・・』
私は言われるがままにドアを背もたれにして寄りかかった。
・・・なんか変な感じがした。
ドアの冷たさを肌で感じて、彼の声を耳元で感じて。
『寄り掛かりましたよ?』
『わかった。理菜さんには僕の声聞こえてる?』
支離滅裂。
いよいよ彼の言っていることが完全に分かんなくなってくる。
『そりゃあ・・・電話してるんだし・・・』
『さすが理菜さん・・・』
彼は苦笑とも失笑ともとれる呆れたような口調でそう言った。
『なにが。私にはすべてがわからないんですけど・・・』
ため息をつきながら
コツン。
私は後頭部をドアにぶつけた。
え・・・?
その時おかしな現象が起こる。
『・・・コツン』
その音が耳元から聞こえてきた。
『今、頭ぶつけた?』
『え・・・あ、はい』
『電話越しに音、聞こえたでしょ?』
彼の確認を取るその言葉でやっとすべての意味を理解した。
ただ・・・信じられない。
そんなこと・・・。
『裕哉さん・・・』
『ん?』
『裕哉さんはまさか今・・・』
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この回は上手く書きたかった・・・。
とか思いますが。
難しい!!