ケイタイのバイブ音が鳴ったのは、家に着く直前のことだった。
僕はドアを開けあながらケイタイをポケットから取り出して画面を見た。
僕は受信先を見て凍りつく。
なんで・・・理菜さんから・・・?
さっきまでその人のことを考えていた。
これは偶然?それとも必然?
それは神しかわからないこと。
だけど、なんとなく・・・必然のような気がしたんだ。
僕は受信ボックスを開いて内容を見る。
『お久しぶりです。お元気ですか?私は今、彼氏ができて楽しい生活を送っています。裕哉さんはどうでしょうか?彼女さんはできましたか?裕哉さんはモテそうだし優しい人だからきっといるんでしょうね。私は裕哉さんのことが好きです。でも、今の彼が大好きです。よかったら、今の裕哉さんの現状を教えてくだい!』
ズキン・・・。
胸が張りさせそうになる。
と同時に心が抉られたような・・・。
そんな気持ち。
いや・・・それは上辺だけ。
本当は・・・。
「彼氏・・・か」
僕はいつもなら一度顔を出すはずのリビングに顔を出すことなく、自室へと直行する。
カバンを放り投げて、地面に落ちるドンという音と同時に僕はベッドの上に座った。
祝福すべきはず。
そう頭では思っていても、心がそれを拒む。
違うだろ?って。
うん。違う。
だけど・・・。
そんなことを言ったら、僕は何て言えばいいだろう?
最低な僕は、さらに最低な発言を繰り返すのだろうか?
彼氏ができた。
その言葉を見た瞬間だった・・・。
僕の心に今までにないぐらいの嫉妬の感情が芽生えた。
そして気付いたんだ。
僕は、本当の意味で理菜さんを好きになっているんだって。
あの時とは比べ物にならないくらい、あの人のことを好きになっているんだって。
今さらになって・・・。
もう遅いと分かっているのに。
メールの返信、なんて打てばいいだろうか?
上辺の言葉を送るのか、今の本当の気持ちを送るのか。
どっちにすべきか。
どっちが円満に解決するのか。
分かっている。
常人の選択肢で正しい方は。
簡単なはずだ上辺だけの言葉を送るのは。
今まで好きでもない相手に『好き』とか言ってきているのだから。
感情をこめずに機械的に。
いつも通りに・・・。
ただ、文章が違うだけ。
相手を思いやる。
その気持ちは変わらない。
優しい自分のまま・・・。
そうすれば・・・すべてがうまくいく。
『おめでとう』
僕は右手でそう文章を打つ。
左手で右手首を支えながら。
感情を押しとどめた文章はたったの五文字。
僕はそれを送信する。
送信中の文字が出る。
これでいい・・・。
自分の自己中な想いをこれ以上出しちゃだめだ。
相手を困らせてはいけない。
送信中の文字はまだ送信完了に変わらない。
この長い間がまた僕の心を揺らがせる。
早く・・・届け・・・。
そんな僕の願いはむなしくも崩れ去る。
『送信できませんでした』
その文字が出たんだ。
これは神のお告げだろうか?
僕にそのメールを送るなという・・・。
「じゃあ、どうすればいいんだよ!!」
僕は、思いっきりケイタイを地床にたたきつけた。
鈍い音とともにケイタイは転がっていく。
叫んだところで何も意味はない。
何も変わらない。
好きな人に想いを伝えることは悪いことだろうか?
きっといいことだ。
素晴らしいことだ。
美しいことだ。
いけないことなんてなに一つない・・・はず。
僕が好きって伝えることで・・・理菜さんは。
理菜さんの彼氏は。
そして僕は。
どう変わっていくだろう?
変わらないことなんてない。
絶対に嫌な方向へ・・・僕らの人生は進んでいく。
そう確信できる。
なのに・・・なのに・・・。
僕はなぜこんなに悩んでいるのだろう?
そんなにも理菜さんを失うのが怖いのだろうか?
どうしようもなくバカな自分・・・。
この時、僕の脳裏にはあり得ないことが起きていた。
初恋の人よりも・・・ぼくは理菜さんの方を好きになっていたんだ。
↑ ↑ ↑
押してください~!!
励みになるので。
ここ書くことないですww
明日も裕哉編です!!