理菜さんは今どうしているんだろうか?
最後に声を聞いたのは、クリスマスイブのあの日。
僕から電話をかけたあの日だ。
あの電話には意味なんてものはなかった。
あるとすれば・・・ただの自己満足。
理菜さんはクリスマスをどう過ごしているかを知りたかっただけの・・・。
好きと言ってくれた女の子は今彼氏がいるのか。
それともいないのか・・・。
それが気になった。
ただ、どっちの答えを聞いても罪悪感、ささやかな喜びがあったんだろうなって今はそう思うんだ。
あの時の理菜さんの答えは「いない」
その返答に少しだけ喜んでいる自分がいた。
最悪であると分かっていながら。
わかっていたから、電話を切った後すぐに罪悪感に苛まれるんだ。
僕のせい・・って。
お手洗いから戻ってきた麻奈は不思議そうな眼で僕を見てたっけ。
あの時の電話が最後だった。
あれから三カ月。
時が過ぎるのは早い。
もうすぐ春休みに入って、その後・・・。
僕は大学生になるんだ。
新天地での不安は当然ある。
どんな生活が待っているのか、想像もつかない。
まぁ・・・。
想像をふくらましたところで大概は外れるから別に関係ないけど。
帰り道の途中には毎回並木道を通る。
今年は暖かいせいもあってか、桜がもう咲き始めていた。
でも、まだ満開とまではいなかい。
咲くのに時間のかかる蕾たちは、まだ、花を咲かせることはない。
周りが咲いたからといって、自分のペースを乱すことはない。
マイペースに、自分の華を咲かせるんだ。
ゆっくりと・・・確実に。
空は歩いているうちに完全に光を失い完全なる闇になっていた。
無差別に光を照らす人口の明かり。
それらが桜を映している。
夜桜は満開の時は絶景になる。
今はまだ。
声に出すほどの景色までにはなっていなかった。
何度か大きな風が吹く。
その風は、まだ冷たさを残していて、その瞬間だけ寒さを感じた。
風が吹くと同時に、桜の花びらがひらひらと舞い落ちてくる。
僕は手を出して、それを手の平にのせた。
秒速五センチメートルで落ちてくる花びら。
その落ちるスピードはまるで雪のよう。
「雪・・・か」
僕は苦笑いを浮かべて『雪』を眺めた。
そこに昔の自分が現れる。
『雪って綺麗だよね』
彼女はそう言った。
『そうだね。寒いけど』
小さい頃の僕は雪が解けた水溜まりをよけながらそう返した。
『風情があっていいと思わない?』
『ん~・・・僕は寒いの苦手だからなぁ・・・』
僕の返答は薄い。
『子供は雪は喜ぶもんだけど?なんか裕哉君は子供っぽくないなぁ』
『それはお互い様でしょ』
『なんで?私は雪好きだよ?』
『言い方。小学生は風情があるなんて言わないよ』
僕のその言葉に彼女は頬をふくらまして、その場に座り込んだ。
『どうした?』
座りこんだ彼女に少しだけ心配をする僕。
『えい!!』
彼女は急に立ち上がり、雪玉を僕の顔めがけて投げてくる。
至近距離からの攻撃。
当然のように
『うわ!?』
僕はよけることができずに、それを直接食らう。
そこから、何度か雪を当てあって。
『手、冷たい・・・』
彼女は温かい息をかけながらそういう。
『僕も・・・』
その言葉に彼女は、僕の手を取って
はぁ・・・と息を吹きかけた。
顔を赤くさせる僕。
この時、僕は初めて彼女のことを女の子として意識し始めるんだ。
小学生で恋愛感情を抱くのはませてるだろうか?
それとも普通だろうか?
基準ってどこのあるかわからない。
ただ、言えることは、人はみな等しく。
どこかで恋をしているんだってこと。
だけど、恋は儚いものなんだ。
叶うかわからない。
もし叶ったとしても・・・。
彼女が言ってた。
『好きになるのは簡単なんだよ。些細なことで人の心は揺れ動くから。だけど、好きでいることは難しいんだよ』
そう。
叶ったとしても、ずっと好きでいられる保証なんてものはないんだ。
それが愛であって・・・恋であるもの。
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この話で理菜からのメールが届くはずだったんですけど・・・。
過去のことを書いてたら長くなってしまった・・・。
明日の81話で理菜からメールが届きます。
裕哉はその時何を想うか!?
そして、なんでメールが来たその日返信をしなかったのか!!
その心情が分かります。
お楽しみに!
あ、ちなみに今日の話の中に僕の好きな言葉があります。
今日のなうに140文字小説で載せます!