雪が降る肌寒い季節は終わりを迎えようとしていた。
寒空の下、私たちは何度も会って、お互いを温め合った。
卑猥な意味ではなくて、健全な意味として・・・だ。
この時は冬もいいなって思えた。
大嫌いだった冬も。
だって、寒い時の方が彼の温かさをより感じられるから。
夏よりずっと。
私たちは毎日一緒に帰って、メールをして。
重いって言われるくらいのバカップルを驀進していた。
それでよかった。
他人に僻まれようが、疎まれようが。
ただ、彼がそばにいるだけで。
それだけで幸せだった。
そんな日々が続いていく。
そして、時は進み・・・。
3月1日。
春休みが近づいたこの日。
春の気配が訪れ出し、桜ももうすぐ咲くんじゃないかとみんなが心を躍らせる時。
この日はあの日の前日。
でも、『今』を生きている私はそんなことを忘れていた。
声の存在を。
だから・・・。
だからだ。
あんな行動を起こしてしまったのは。
もしも、しっかりと記憶していれば。
メモに書いておけば。
これから、また私が苦悩に襲われるなんてことはなかった。
幸せに、平凡に過ごせていた。
・・・はずなのに。
後の祭り。
今こうやって思っても仕方のないこと。
愚かな行動を呪いつつ。
悔む私。
それが、未来に見える光景。
いや・・・。
それはこうやって傍観者になって見た時に分かったことか。
客観的に見ないとわからない真実。
舞台上に立っている私は当然のように脚本を演じる。
その脚本がこの時点でどう転ぶかなんて分かってない。
軽い気持ち。
彼への・・・。
大好きだった彼への報告。
そして彼の現状を知りたかっただけ。
今彼はどんな生活をしていて。
付き合っている人はいるのか。
とか。
興味本位。
初恋の人。憧れの人。
ただそれだけ。
それだけで送ったメール。
別に、好きだからとかそういう意味じゃなくて・・・。
深い意味なんてなかったんだ。
私はいつも通り彼と一緒に帰路に着く。
幸せな帰り道。
でも、家の前で『ばいばい』
そういうのが寂しい。
毎回訪れるこの瞬間は嫌なものだった。
「ばいばい」
いつも通りそういった彼に
「もう少し一緒にいたいなぁ」
そんなことを言ってみた。
「また、明日も会えるから」
彼はそんな私の言葉を軽く流して、「ばいばい」
もう一度言って、手を絡めた。
顔が熱くなる。
頭の回線がショートした私は
「うん」
それしか言えなかった。
彼の背中を見送りながらこう思う。
ずるいなぁ・・・って。
私はドアを開けて、玄関で靴を脱ぎながら「ただいま」
そう言った。
「お帰り」
台所の方からお母さんの声が聞こえる。
夕飯を作っているのだろう。
私は二階に上がり、自分の部屋に入る。
制服を脱いで、部屋着を着て。
ベッドに腰掛けて、上を向く。
「暇・・・」
そんなことを呟きながら。
まだきっと夕飯はできない。
お父さんも帰ってきてないし。
何しようか・・・。
そんなときに浮かんだのが・・・あれだった。
私はケイタイを開いてメールを作成した。
宛先・・・小林裕哉。
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さぁ・・・彼女は裕哉になんてメールを送るのか!?
文章に書いてありますけど・・・w
明日も理菜編。
そして、明後日!!
久々の裕哉編です!!!