77話 宛先 | love storys  ~17歳、私と君と。~

love storys  ~17歳、私と君と。~

どれだけ、時間が戻ればと思っただろう。

どれだけ、彼が愛おしいと思っただろう。

どれほど・・・

       私は君との未来を願っただろう。

雪が降る肌寒い季節は終わりを迎えようとしていた。


寒空の下、私たちは何度も会って、お互いを温め合った。


卑猥な意味ではなくて、健全な意味として・・・だ。


この時は冬もいいなって思えた。


大嫌いだった冬も。


だって、寒い時の方が彼の温かさをより感じられるから。


夏よりずっと。


私たちは毎日一緒に帰って、メールをして。


重いって言われるくらいのバカップルを驀進していた。


それでよかった。


他人に僻まれようが、疎まれようが。


ただ、彼がそばにいるだけで。


それだけで幸せだった。


そんな日々が続いていく。


そして、時は進み・・・。


3月1日。


春休みが近づいたこの日。


春の気配が訪れ出し、桜ももうすぐ咲くんじゃないかとみんなが心を躍らせる時。


この日はあの日の前日。


でも、『今』を生きている私はそんなことを忘れていた。


声の存在を。


だから・・・。


だからだ。


あんな行動を起こしてしまったのは。


もしも、しっかりと記憶していれば。


メモに書いておけば。


これから、また私が苦悩に襲われるなんてことはなかった。


幸せに、平凡に過ごせていた。


・・・はずなのに。


後の祭り。


今こうやって思っても仕方のないこと。


愚かな行動を呪いつつ。


悔む私。


それが、未来に見える光景。


いや・・・。


それはこうやって傍観者になって見た時に分かったことか。


客観的に見ないとわからない真実。


舞台上に立っている私は当然のように脚本を演じる。


その脚本がこの時点でどう転ぶかなんて分かってない。


軽い気持ち。


彼への・・・。


大好きだった彼への報告。


そして彼の現状を知りたかっただけ。


今彼はどんな生活をしていて。


付き合っている人はいるのか。


とか。


興味本位。


初恋の人。憧れの人。


ただそれだけ。


それだけで送ったメール。


別に、好きだからとかそういう意味じゃなくて・・・。


深い意味なんてなかったんだ。


私はいつも通り彼と一緒に帰路に着く。


幸せな帰り道。


でも、家の前で『ばいばい』


そういうのが寂しい。


毎回訪れるこの瞬間は嫌なものだった。


「ばいばい」


いつも通りそういった彼に


「もう少し一緒にいたいなぁ」


そんなことを言ってみた。


「また、明日も会えるから」


彼はそんな私の言葉を軽く流して、「ばいばい」


もう一度言って、手を絡めた。


顔が熱くなる。


頭の回線がショートした私は


「うん」


それしか言えなかった。


彼の背中を見送りながらこう思う。


ずるいなぁ・・・って。


私はドアを開けて、玄関で靴を脱ぎながら「ただいま」


そう言った。


「お帰り」


台所の方からお母さんの声が聞こえる。


夕飯を作っているのだろう。


私は二階に上がり、自分の部屋に入る。


制服を脱いで、部屋着を着て。


ベッドに腰掛けて、上を向く。


「暇・・・」


そんなことを呟きながら。

まだきっと夕飯はできない。


お父さんも帰ってきてないし。


何しようか・・・。


そんなときに浮かんだのが・・・あれだった。


私はケイタイを開いてメールを作成した。


宛先・・・小林裕哉。





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さぁ・・・彼女は裕哉になんてメールを送るのか!?


文章に書いてありますけど・・・w


明日も理菜編。


そして、明後日!!


久々の裕哉編です!!!