その好きだった相手と出会ったのは小学生の頃。
その頃は恋愛感情とかなく、仲良くしていただけの相手だった。
けど、中学生になってから急に意識するようになる。
昔は仲良く話していたのに、急に話せなくなる。
席が隣になった時もあった。
あっちは昔と同じように話してくれる。
でも、僕は妙に意識してしまって返事が上手くできない。
見事なまでのチキンぶりだった。
そんなこんなで月日は経過していって・・・。
卒業を迎える。
想いを伝えられれないまま。
本当は想いを伝えようと思った。
卒業式の日に。
だけど、その前日だ。
彼女は違う男の子のと一緒に歩いていた。
結局ーー。
僕の初恋は相手に何も伝えることができずに終わったわけで・・・。
それを今になっても引きずってる。
ただそれだけ。
僕は今でも彼女が好きだ。
でも、もう会うことができない彼女のことは諦めるしかない。
だって彼女の家も知らなければ、連絡先も知らない。
それに・・・今さら。
そう。
それが分かってるのに引きずってるんだ。
諦めているはずなのに・・・好きなんだ。
僕が好きなのは、一生でただ一人。
なんて、そう決めつけているんだ。
これが理由。
人を好きにならない、馬鹿で意味の分からない理由。
相手の顔ももうおぼろげになっている。
それでも、相手のいいイメージだけが残っていって美化されていって・・・。
どんどん好きになっていく。
忘れられなくなっていく。
人って会えない時の方がその人を思う気持ちが強くなるらしい。
だから、よくあるカップルだと別れてから相手の大きさに気づいて、よりを戻すとか。
そういうのがよくあるって聞くんだ。
こういうのを聞くと、なんで別れる前に相手の大きさに気づかなかったんだろう。
なんて思う人もいるだろう。
僕もそう思うけど・・・。
でも、そういうものなんじゃないかなって。
まあ・・・。
僕は付き合ってもいないからよりを戻すも何もないんだけどさ・・・。
女の子と一緒にいるのに、他の女の子のことを考える僕って最低。
彼女はご飯を食べながら怪訝そうに僕を見る。
「話・・・聞いてますか?」
「え・・・ごめん。なに?」
「何の考え事ですか?」
「何でもないですよ」
「ふ~ん・・・」
拗ねてしまっただろうか?
僕らは少しの間無言でご飯を食べる。
そして・・・。
「もう、10時ですね」
彼女が時計を見ながら言った。
「そうですね」
僕も手首につけていた腕時計を見た。
ずいぶんボロボロになってきた腕時計。
今度暇があった時に買いに行かないとな・・・。
「もう帰りますか?」
「理菜さんがそろそろやばいでしょ?」
「なにがですか?」
「怒られないんですか?」
「誰に?」
「親にですよ」
「ああ・・・今日、親家にいないんですよ」
「は!?」
「旅行に行ってるみたいで」
何事もないかのように理奈さんは言った。
「あ・・・そうなんですか。でもどっちにしろもうすぐ帰らないと、補導されますよ?制服着てるし」
「ですね・・・。もう少し、お話したかったんですけど・・・」
残念そうに下を向く理菜さん。
「ですね・・・」
「今日どのホテルに泊まるかは決まったんですか?」
「いや・・・まだです」
「今から探すんですか?」
「その予定です」
「だったら・・・」
理菜さんは何かを言おうとして・・・
「あ・・・なんでもないです。じゃあ、さようなら」
理菜さんは僕に背を向ける。
「理菜さん!!」
「え?」
彼女はこっちを振り向く。
「送っていきますよ」
「ここから遠いですよ?」
「さすがにこの時間に女の子一人は危ないですよ」
「ありがとうございます」
彼女は僕のこの言葉で今日一番の笑顔を見せた。
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