~side裕哉~
一日がもうすぐ終わるって思う時。
僕は、夕陽が見えてきた時。
それが、楽しかった一日が終わりかねが鳴ったようなものだと思っている。
その鐘が鳴る。
空は晴れて、青空の中、理菜さんに案内してもらった名古屋観光。
空はいつの間にか黄土色の変わっていた。
ビルの隙間から、窮屈そうな陽が僕らを照らす。
僕は時計を見た。
夜7時。
陽が落ちるのが遅い夏。
気付いたら、こんな時間にまでなっている。
「理菜さん、今日はありがとう。一日付き合わせて・・・」
最後の一箇所を見終わった後、道なりに進んだ途中の道路。
「あ・・・もうホテルの行く時間なんですか?」
理菜さんは心なしか少し残念そうにそう聞いた。
「そうじゃないけど、理菜さんはもう帰ったほうがいいですよね?」
「え・・・いや・・・」
「ん?」
「迷惑じゃなければ・・・夕食・・・一緒にどこかで食べませんか?」
「え・・・」
「あ、あのですね!!別に深い意味とかじゃなくて・・・」
なんか妙に焦っている理菜さん。
どうしたのだろうか・・・。
理菜さんは携帯を開いて口元に当てる。
そして、顔を紅色に染めながら
「夕飯・・・家にないみたいなんで・・・」
そういった。
「そうなんだ。じゃあ、どこか食べに行く?」
そういった僕は、機械的に言っただけ。
彼女が言った言葉はほとんど僕の耳には入っていなかった。
視界に映った光景が聴覚を一瞬にして奪った。
黄土色の空をバックにおいて、紅色に頬を染めて携帯を口元に置く彼女。
これがすごい可愛くて。
まるで一つの絵だ。
すごく綺麗な絵。
「いいんですか!?」
その嬉しそうな顔をする彼女を見て、僕は我に返った。
「あ・・・はい」
「どこに食べ行きますか?」
「ん~・・・二件目のお勧めはありますか?」
こうやってすべてを女の子に任せる男って最低だろうか?
僕は彼女ができても、こんな感じだろう。
相手に任せる。
デートに関して全部。
普通は男の子が決めるもの。
誰かがそう言ってた。
女の子たちは決めてほしいらしい。
でも、それは人によるんじゃない?
そんなことを言ってもただの言い訳にしか聞こえない。
なんで、僕がデートプランを決めないか。
最初はただめんどくさい。
そんなことを思っていたからだと思ってた。
だけど、最近やっとわかった。
その理由はーー。
僕が相手を本気で愛していなかったから。
妥協で付き合ってきたから。
いつかは別れる。
そんな未来を見ながらデートしてたから。
冷めてる。
そんなことをよく言われる。
でも、実際にそうじゃん。
結婚しなかったらいつかは別れるんだし。
だから、本気の恋はしない。
相手を好きにならない。
好きになってしまえば・・・。
その分別れた時が辛くなる。
それが嫌だから。
人を本気で好きになったら、そんな考え消えてるぞ?
誰かに言われた。
でも、僕はそうならない自信がある。
なぜなら・・・。
僕には好きな人が『いた』から・・・。
その相手のことだけを見ていける。
そんな自信があるから・・・。