8話 『いた』 | love storys  ~17歳、私と君と。~

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どれだけ、時間が戻ればと思っただろう。

どれだけ、彼が愛おしいと思っただろう。

どれほど・・・

       私は君との未来を願っただろう。

~side裕哉~


一日がもうすぐ終わるって思う時。


僕は、夕陽が見えてきた時。


それが、楽しかった一日が終わりかねが鳴ったようなものだと思っている。


その鐘が鳴る。


空は晴れて、青空の中、理菜さんに案内してもらった名古屋観光。


空はいつの間にか黄土色の変わっていた。


ビルの隙間から、窮屈そうな陽が僕らを照らす。


僕は時計を見た。


夜7時。


陽が落ちるのが遅い夏。


気付いたら、こんな時間にまでなっている。


「理菜さん、今日はありがとう。一日付き合わせて・・・」


最後の一箇所を見終わった後、道なりに進んだ途中の道路。


「あ・・・もうホテルの行く時間なんですか?」


理菜さんは心なしか少し残念そうにそう聞いた。


「そうじゃないけど、理菜さんはもう帰ったほうがいいですよね?」


「え・・・いや・・・」


「ん?」


「迷惑じゃなければ・・・夕食・・・一緒にどこかで食べませんか?」


「え・・・」


「あ、あのですね!!別に深い意味とかじゃなくて・・・」


なんか妙に焦っている理菜さん。


どうしたのだろうか・・・。


理菜さんは携帯を開いて口元に当てる。


そして、顔を紅色に染めながら


「夕飯・・・家にないみたいなんで・・・」


そういった。


「そうなんだ。じゃあ、どこか食べに行く?」


そういった僕は、機械的に言っただけ。


彼女が言った言葉はほとんど僕の耳には入っていなかった。


視界に映った光景が聴覚を一瞬にして奪った。


黄土色の空をバックにおいて、紅色に頬を染めて携帯を口元に置く彼女。


これがすごい可愛くて。


まるで一つの絵だ。


すごく綺麗な絵。


「いいんですか!?」


その嬉しそうな顔をする彼女を見て、僕は我に返った。


「あ・・・はい」


「どこに食べ行きますか?」


「ん~・・・二件目のお勧めはありますか?」


こうやってすべてを女の子に任せる男って最低だろうか?


僕は彼女ができても、こんな感じだろう。


相手に任せる。


デートに関して全部。


普通は男の子が決めるもの。


誰かがそう言ってた。


女の子たちは決めてほしいらしい。


でも、それは人によるんじゃない?


そんなことを言ってもただの言い訳にしか聞こえない。


なんで、僕がデートプランを決めないか。


最初はただめんどくさい。


そんなことを思っていたからだと思ってた。


だけど、最近やっとわかった。


その理由はーー。


僕が相手を本気で愛していなかったから。


妥協で付き合ってきたから。


いつかは別れる。


そんな未来を見ながらデートしてたから。


冷めてる。


そんなことをよく言われる。


でも、実際にそうじゃん。


結婚しなかったらいつかは別れるんだし。


だから、本気の恋はしない。


相手を好きにならない。


好きになってしまえば・・・。


その分別れた時が辛くなる。


それが嫌だから。


人を本気で好きになったら、そんな考え消えてるぞ?


誰かに言われた。


でも、僕はそうならない自信がある。


なぜなら・・・。


僕には好きな人が『いた』から・・・。


その相手のことだけを見ていける。


そんな自信があるから・・・。