授業をさぼって教室で二人きり。
その相手が女の子なら嬉しいシュチュエーションなのかもしれない。
「・・・本気で言ってんの?」
大介は苦笑しながらそう言った。
「軽蔑・・・してもいいよ」
僕も苦笑で返す。
「いや・・・軽蔑はしないけど、そこまで・・・妹のことが・・・」
「ああ・・・大好きなんだ。誰よりも」
「はぁ・・・そっか。これからは、どうする気なんだ?」
大介は腕組をして壁に寄りかかった。
呆れ気味の顔だ。
「どうするって?」
「付き合っていくんだろ?デートもあんまりできないぜ?」
「手を繋がなければ仲のいい兄妹ってだけだから大丈夫だろ」
「好きな人が隣にいるのに手を繋がない・・・。我慢できんの?」
「今までだって、ずっとそばにいたんだから」
「今まではお互いが気持ちに気づいてなかったからだろ?それに・・・」
「なんだよ?」
「紗希ちゃんの方はきっと我慢できなくなる」
確信がある。
そんな言い方だった。
「え・・・?」
「紗希ちゃんは・・・兄妹で付き合うことがどれほど罪深いものなのか知らない。まして・・・なんで兄妹が結ばれることがいけないことなのか。そのことすら分かってないだろうからな」
「どれだけ、お前は僕の妹のこと知ってんだよ」
「お前の次に・・・知ってるつもりだよ」
「それ・・・まさか・・・」
その言葉の意味。
なんとなくわかる。
鈍感な僕でも。
「俺は紗希ちゃんのことが好きだ」
照れることなく言った言葉は何か重みがあるような気がした。
チャラくて、女たらしで経験値がめちゃくちゃ高い大介。
そんなやつが真剣に・・・。
真剣な恋愛感情を抱いている。
初めて聞いたんだ。
大介が・・・誰かを好きって言った・・・その言葉を。
「初・・・耳だな」
動揺を隠せない僕。
「そりゃそうだ。言わないようにしてきたからな」
「僕達・・・親友だろ?」
僕は自分が紗希を好きだってこと。
付き合っていること。
何でも話してきた。
言いにくいことでも。
だって僕は・・・。
大介を信頼していたから。
そして、今やっとわかった。
麻衣が言おうとしたことが。
これ・・・だったんだ。
利用・・・か。
麻衣を利用して、僕と麻衣をくっつかせて、紗希を奪う。
そうすることだったのかもしれない。
「言って・・・どうするんだ?」
「どうするって・・・?」
「他の相談ならするが、これだけは翔。お前にはどうにも解決できない問題だろ?」
「それは・・・」
「だから言わなかった。そして、この想いは封印することに決めた」
「封印・・・か」
「ああ、封印だ。諦めるわけじゃない。お前の妹を奪う気でいる。・・・いつかな」
「今回はずいぶん真剣な恋なんだな」
「珍しくな」
恋に真剣な大介。
こんな彼を見ていると・・・紗希を譲った方がいいんじゃないかなって思う。
僕といるより大介と一緒になった方が幸せになれるし。
僕と居ることは、枷になる。
最終的に辛い道しかない。
恋ってのは最終的に三つの結末がある。
結婚してハッピーエンドか。
別れてバッドエンドか。
それか・・・。
死別。
基本的にはこの3択だ。
この3択のうち、僕と紗希に残された選択肢は2つ。
別れるか、死別するか。
結婚するという選択肢はない。
だからこそ・・・。
僕と一緒にいることは、いいことではない。
幸せにはなれない。
紗希の苦しむ姿を見たくない。
辛い顔を見たくない。
涙を見たくない。
なら・・・大介に・・・。
そんなことを一瞬でも考えた自分は最低。
「なぁ・・・翔」
「なに?」
「一度選んだ道はもう戻ることはできない。その道をまっすぐ進むしかないんだぜ?その先どんな結末が待っていてもな」
「・・・」
重みのある言葉。
それは、過去に戻せない時間の中で苦しみ・・・もがいて。
それでも何もできなかった人。
そんな人が言うようなセリフだった。
聞いたことがある。
昔、大介の目の前で起きた悲劇を・・・。
「まあ、進むしかない道の中でも・・・きっとまた曲がったり違う道が現れるかもしれないしな・・・」
大介は外を眺めた。
三時間目。
晴天。
太陽がまぶしく輝く空を・・・。
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昨日は・・・う~ん。
何とも言えない一日でした。
何やってんだか自分・・・みたいな。
コメントやなうで祝福のお言葉ありがとうございます!
今日はなんか、篠崎君が紗希に言ったのと似たようなシーンになりましたが。。
すいません。
ここから、道徳が問われるシーンへと入っていきます。