53話 修学旅行の夜 | love storys  ~17歳、私と君と。~

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どれだけ、時間が戻ればと思っただろう。

どれだけ、彼が愛おしいと思っただろう。

どれほど・・・

       私は君との未来を願っただろう。

「あれ?晴香、一人?」


意外そうな顔で私を見る浩平。


「うん、何か悪い?」


「別に・・・愛美はどうした?」


「愛美は・・・どっか行った」


「そっか。じゃあ、あとの時間、俺と話さない?」


浩平は私の返事を待たずにさっきまで愛美が座っていた席に座った。


「え~・・・」


私は嫌そうな表情を浮かべる。


素直じゃないから。


「いいじゃん、いいじゃん」


「まあ、いいけど・・・」


「じゃあ決まり。久しぶりだな~。晴香と二人で話すの」


「・・・一昨日話したよ」


「そうだっけ?」


「うん」


「改まってこうやって話すのだよ?」


「あ、それはないかも・・・」


考えてみれば、こうやって話す機会なんてなかった。


彼とはいつも立ち話。


学校へ行く時とか移動授業での廊下を歩く時とか。


それか、数人で話しているとき。


「中学校の時・・・以来かな」


「そうだな。いつだったか覚えてる?」


「なにが?」


「最後に2人でこうやって話をしてた時」


「ん~・・・」


私は遠くを見ながら考え込む。


青い空に中学時代の映像が次々と映し出される。


けれど、その時の映像は浮かびだされない。


「いつだっけ?」


「忘れたんだ?」


「うん。むしろそういうときあったっけ?」


「あったよ。修学旅行の時」


「ああ!!あったね~」


今思い出した。


修学旅行の二日目の夜のこと。


*************


『ごめん。みんな、私ちょっと外出てくる!』


亜美がそう言って、消灯時間が過ぎた後に部屋から出ていった。


『え!?まだ先生が見回りしてるよ?』


そう言って引き留めるみんなを振り切って。


携帯を手に持って出て行った亜美。


どこに行ったかは容易に想像できた。


祐二のところ。


その理由は簡単。


亜美は一瞬私の方を見たから。


毎回そうだ。


申し訳なさそうな表情を浮かべる。


『亜美を連れて帰ってくる・・・』


私はそういって部屋を出た。


静まり返った廊下。


私は足音を忍ばせながら歩く。


けれど浴衣にスリッパ。


どうしても、少しは足音が聞こえる。


それが嬉しい誤算となった。


どこかからか、誰かの足音がする。


足音が近づくにつれて、どっちの方からかが分かるようになる。


「後ろから・・・か」


亜美ではない。


私は、柱の影に隠れる。


ビンゴ・・・。


先生の見周りだった。


先生が通り過ぎたところで私はまた歩き出す。


『亜美を通れ戻す・・・か』


そんなつもりは毛頭ない。


なんとなく。


私自身が外に出たかっただけ。


この時間に外に出ることは禁止されている。


禁止されていると出たくなる。


ただそれだけ。


それが理由で私は外に出る。


亜美と祐二のことはどうでもいい。


あの二人が一緒にいるところを見ても嬉しくないし。


ロビーまで来る。


このホテルのロビーは大きい。


シャンデリアあるし吹きぬけだし。


『どんだけいいとこ泊まってんだか・・・』


ロビーを抜けて外。


外は思いのほか寒かった。


まだ、5月だし・・・当たり前か。


たくさんの照明が綺麗にホテルを照らしている。


私は近くにあった縁石に座った。


『あ・・・』


そこから、ホテルの影でキスをしているカップルが見えた。


その2人は祐二と亜美ではない。


隣のクラスの2人。


『けっこう中学生のカップルって多いんだな・・・』


私の心に穴が開いた気がした。


その穴から風が通る。


虚しさ、悲しさ。


一人身の私には少しきつい光景だった。





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ストックを下書きで書いていて思ったんですが、18禁っぽいw


まあ、大丈夫だろう!!ww


当分の間は晴香編が続くので!


あと、写メも公開したので~


アメンバー限定ですがw