18時30分。
少し早すぎただろうか?
私は腕時計を見ながら待ち合わせ場所に向かう。
明るく照らされた街灯の中の一本道。
そのなかの一番大きな木の下。
「あ・・・」
私はそこに着いて驚く。
既に君はいた。
まだ・・・30分前なのに。
「待った?」
私は聞いた。
「う~ん・・・10分ほど」
「来るの早すぎだよ」
「長嶋も十分早いと思うけど?」
相馬君は腕時計を見ながら言った。
「まあ、そうだけど・・・」
「待ってる時間もデートの一部だから」
彼はそう言って歩き出した。
「名言だね」
私はそう言って隣に並ぶ。
「だろ?」
相馬君はカラカラと笑った。
「で・・・今日はどこに連れて行ってくれるの?」
「行ってからのお楽しみじゃだめ?」
「わかった」
「ただ、期待してていいよ」
「凄い自信だね」
「一応、御曹司なので」
「一流のレストラン?」
「さぁ?」
彼は首をひねってごまかした。
彼の家は大金持ち。
銀行の社長だっけか・・・。
そんな話を聞いたことがある。
だから、彼と結婚したら玉の輿に乗ったという訳だ。
まあ、そこまでお金に興味はないが。
逆になさすぎるわけでもない。
ある程度生活できるお金と少し遊べるお金。
これは欲しい。
人間は愛だけでは生きていけないのだから。
どこかの恋愛マンガやドラマなどで聞いたことあるセリフ。
だれもがあるだろう。
『お金なんていらない。君さえいれば』
とかなんとか。
そう思うのは素晴らしいことだが、実際にはそうもいかない。
そんなロマンチスト・・・。
それが成立するのは学生の恋愛ぐらいだ。
もし、私が将来結婚するなら・・・。
ある程度の収入を望むかもしれない。
愛を優先できないかもしれない。
なんて、理屈で考えられるレベルで好きになれるはずもないのだけど。
「あ・・・着いたよ」
彼がビルみたいな建物の前で立ち止まった。
店の看板はどこにもない。
むしろ、高級ホテルとか高級マンションとかそっちの類に見える。
どうくるのか全く想像できない。
「目が点だぜ?」
相馬君がからかってきた。
「そりゃ・・・どこに行くのか全く想像できないんだけど・・・」
「じゃあ、ヒント」
彼はビルのドアをかぎで開けた後、私の方を向いた。
「なに?」
「レストランではありません」
「だろうね~」
彼は「あはは」と笑ってロビーを横切る。
マンション・・・ぽい。
・・・シャンデリアあるけど。
少し歩いた先にエレベーターがあった。
彼がその中に入り、14階のボタンを押した。
ドアが閉まり、私たちは無言になる。
なにか・・・密室に二人だと話しづらい。
相馬君も何も言ってくれないし。
そんなことを考えているうちに14階に着いてドアが開いた。
彼は無言で歩き出す。
「ねぇ・・・」
「ん?」
彼が反応してくれる。
「まだ?」
「ここ」
そう言って彼は一つの部屋で立ち止まった。
1403と書かれた部屋。
「ここなの?」
「うん。俺の部屋」
彼はドアノブに手をかけて部屋を開けた。
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