~side白石朔弥~
「夏実に何かしたの?」
保健室を出て僕らは階段を上った。
「いや・・・身に覚えがないな・・・」
「でも、謝った方がいいんじゃない?」
「そう・・・かもな」
僕は、保健室の方に引き返すことにした。
「ついていってあげようか?」
「僕は子供か?」
「私から見たらね」
「子供を好きになったの?」
「私は弟を好きになったつもりだよ」
「禁断の恋だな」
僕は苦笑する。
「そうだね。まあ、私は教室に戻るね」
「うん」
僕は佳奈が階段を上ったのを見送った後、保健室に向かった。
なんで、長嶋は圭一を残したのだろうか?
別に佳奈でいいじゃないか。
まるで・・・僕への当てつけみたいに・・・。
当てつけ?
もし・・・そうなら・・・。
そうなら、長嶋は僕が好きだってことを知っている?
いや・・・知るはずない。
ほとんど誰にもこの話はしたことないのだから。
話したのは、佳奈だけ・・・。
僕は、保健室のドアを開けようとして、その動作を止めてドアの前で立つ。
2人は何かの話をしていた。
けど、内容は聞き取れない。
変な好奇心が僕の欲求に火をつけた。
僕は、2人に気づかれないように少しだけドアを開けて、中を覗いた。
その時の僕はどんな表情をしていただろう?
嫌悪?嫉妬?憎しみ?悲しみ?
どれかの感情があった。
長嶋が圭一を誘うように2人はキスをしていた。
これが、僕らを遠ざけた理由か。
長嶋も・・・圭一のことが好きなんだ。
2人は両想いなんだ・・・。
その時、2人の舌が絡み合った。
おいおい・・・。
これ以上見てると、僕は圭一を殴ってしまうかもしれない。
そう思い、僕は保健室のドアをそっと閉めた。
音を立てないように。
これは・・・開けてはならないパンドラの箱だったのかもしれない。
僕が見てはいけないものだったのかもしれない。
なのに・・・愚かな僕は見てしまった。
圭一と長嶋・・・か。
僕は複雑な思いで階段を上っていく。
「帰ってくるの早かったね」
踊り場には佳奈がいた。
「教室に戻ったんじゃないの?」
「授業めんどくさいんだもん」
「学級委員が言うセリフか?」
「そこは言わないで。で、謝れた?」
「いや・・・」
僕は俯きがちにそう答えた。
「なんで?」
「・・・」
僕はなにも答えない。
というより言いづらいんだ。
「夏実と相馬君がキスをしてた・・・とか?」
「え・・・なんでそれを・・・」
僕は驚いて彼女を見る。
「え・・・当たりなの?適当に言ったんだけど・・・」
「正解だよ」
僕はそう言ってその場に座り込んだ。
あの時の僕らはずっとすれ違っていた。
お互いに違う人が好きなんじゃないかと思ってた。
そんな大きな誤解を2人は背負ったまま・・・違う道へと歩き出すんだ。
『大好き』という想いを伝えないまま。
僕達は卒業して高校生になったんだ・・・。
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今日はこっちは書きません。
久しぶりに日常を一つ書くので、見てください。
というより、お知らせなんですけどねww