124話 君の頭の中にいる | love storys  ~17歳、私と君と。~

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どれだけ、時間が戻ればと思っただろう。

どれだけ、彼が愛おしいと思っただろう。

どれほど・・・

       私は君との未来を願っただろう。

僕らは無言でもう一度キスをした後に離れた。


「好きだよ・・・」


由美がそう言って僕の手を握る。


「僕も・・・」


そう言って2人で歩きだす。


「レストランに行く?」


僕が聞くと由美は「うん」と頷いた。


イルミネーションもない薄暗い道を歩く。


その時、ついに最悪の事態が僕らを襲った。


それは人気のない交差点で。


僕らの死角からバイクが走ってきたんだ。


それも、クリスマスに不釣り合いなこの交差点には人はいないだろうと確信したようなスピードで。


位置、タイミング、スピード。


すべてが僕らに直撃することを調整されたかのような・・・。


「きゃああぁぁ!!」


キイイィィ!!


由美の悲鳴とブレーキ音が交錯して僕の耳に入る。


僕らにぶつかる直前、時が止まった。


由美の包帯が宙に舞う。


今までに感じたことのない風の強さ。


僕は前方で今にも動き出しそうなバイクを見る。


そして、由美を見る。


由美は不安そうな顔をしている。


・・・決めた。


僕は由美との誓いを破る。


由美とずっと一緒にいるという約束であり誓いを・・・。


その決断を決めたと同時に、止まっていた時間が動き出す。


神が僕に考える時間をくれたってことか?


クリスマスイブだし。


僕は苦笑した後、由美から手を離して歩道の方へ由美を押した。


「裕樹君!?」


由美が叫ぶ。


けど、僕にはその声は届かなかった。


その声と同時に、僕は凄まじいスピードで突っ込んでくるバイクと衝突する。


その時、楓の言葉を思い出した。


「気をつけてね・・・」


楓の心配そうな顔を思い出す。


『だから言ったのに・・・』


え・・・?


頭の中に楓の声が響いた。


『楓・・・?どこにいるんだ?』


『君の頭の中にいる』


『なんだよ・・・そりゃ・・・』


『ねえ・・・私が君と新潟にいた時、裕樹君以外の人と話してたの見たことある?』


『え・・・?』


僕は思考を巡らす。


確かに、考えてみれば見たことない。


それに・・・夏帆とも隼人とも楓の話をしたことは・・・ない。


いや・・・修学旅行に一度だけあった気がする。


隼人が早くバスに乗れって言った時・・・。


『それは、私と裕樹君にじゃないよ。君の後ろに洗面所にいた女の子に言ったんだ』


は・・・?


意味がわからない。


修学旅行の席も隣にいたのに?


『あはは。君の隣の席には誰も座っていなかった。それだけ・・・。意味は分かったかな?私の忠告もちゃんと聞かずに轢かれた裕樹君?』


『意味分かんないよ・・・』


『いつか・・・分かる日が来るよ・・・』


プツン・・・。


そんな擬音とともに楓との会話が途切れた。


そして、僕は意識を失った。