123話 幸福の中 | love storys  ~17歳、私と君と。~

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どれだけ、時間が戻ればと思っただろう。

どれだけ、彼が愛おしいと思っただろう。

どれほど・・・

       私は君との未来を願っただろう。

「お待たせ~」


由美が小走りで僕がいるところまで来た。


真っ黒のインハイブーツにタータンチェックの赤いミニスカート。


そして黒のPコートからのぞく白いパーカーのフード。


まさに今どきの女子高生という感じがした。


「どう・・・かな?」


由美が上目遣いに僕を見る。


「すごい似合ってる。可愛いよ」


僕は本心から思ってることを君に言った。


「なんか、セオリー通りでつまんないなぁ・・・」


由美は不満そうな顔で僕を見る。


「え?じゃあ、なんて言えばいいんだよ」


「冗談。嬉しかったよ」


由美は悪戯な笑顔を浮かべて舌を出した。


「行こ!」


由美は僕の手を引いて歩き出す。


由美らしいなぁ・・・。


その時、左手首の包帯が見えた。


クリスマスに不釣合いな包帯。


「あ・・・ごめんね」


そんな僕の視線に気づいたのか、由美が謝ってくる。


「謝ることじゃないよ」


「ありがとう・・・」


由美が可愛らしい笑顔を見せる。


「裕樹君どこ行く?」


「夜景の見えるレストランでも行く?」


冗談交じりにそんなことを言ってみる。


「うん。連れてって」


語尾に音符でもつけるように言う。


「え?本気?」


「少し本気にした」


どうせ、嘘だろう。そんな表情。


「いいよ。行こうよ」


僕は、財布の中にカードがあるのを確認した後言った。


「ほんとに!?」


「うん」


「やったぁ」


由美が僕の腕に絡みついてくる。


瞬時に僕の体温が上がった。


心臓の鼓動が速くなる。


「梨香さんとかと行くんじゃないのか?」


自分の声が少し動揺してるのが分かる。


「行くけど、君と行くことに意味があるんだよ」


「そっか」


僕らは渋谷の街中を歩く。


イルミネーションが綺麗だ。


こんな中で由美と過ごすこと。


僕はそれがすごく幸せに感じる。


クリスマス・・・か。


「ねぇ・・・裕樹君」


由美は僕から離れて目を見てくる。


「どうした?」


「君が好きです。これから・・・ずっとずっと」


周りにも聞こえる声。


通り過ぎる人たちが僕らの方を向きながら歩いていく。


「ありがとう。けど、こんなとこで言うなよ・・・」


僕はそう言いつつも、人通りの多いこの歩道で君にキスをした。


由美の顔が赤くなる。


「こ・・・こんなとこで。すごく恥ずかしいんだけど・・・」


由美は唇を手の甲で抑えながら言う。


「そうだね」


僕は微笑する。


「むぅ・・・」


そう言って由美は走りだす。


「おい、由美!」


僕は彼女を追いかける。


「裕樹君、あんなところでするなんて反則だよ」


「ごめんごめん」


由美は僕のその言葉を聞いた後、立ち止まった。


そこは誰もいない路地裏。


照明はあまりなく明かりが乏しい。


「少し暗いね」


僕は周りを見渡す。


「ここの方がイチャイチャできるじゃん」


由美はそう言って僕にキスをする。


「由美・・・」


僕は反射的に由美を抱きしめた。


「裕樹君・・・」


由美は僕の背中に手を回した。



この時間が永遠に続けばいいのに。


僕は本気でそんなことを考えた。


けど・・・この五分後にその想いは無情にも打ち崩されるんだ・・・。