「お待たせ~」
由美が小走りで僕がいるところまで来た。
真っ黒のインハイブーツにタータンチェックの赤いミニスカート。
そして黒のPコートからのぞく白いパーカーのフード。
まさに今どきの女子高生という感じがした。
「どう・・・かな?」
由美が上目遣いに僕を見る。
「すごい似合ってる。可愛いよ」
僕は本心から思ってることを君に言った。
「なんか、セオリー通りでつまんないなぁ・・・」
由美は不満そうな顔で僕を見る。
「え?じゃあ、なんて言えばいいんだよ」
「冗談。嬉しかったよ」
由美は悪戯な笑顔を浮かべて舌を出した。
「行こ!」
由美は僕の手を引いて歩き出す。
由美らしいなぁ・・・。
その時、左手首の包帯が見えた。
クリスマスに不釣合いな包帯。
「あ・・・ごめんね」
そんな僕の視線に気づいたのか、由美が謝ってくる。
「謝ることじゃないよ」
「ありがとう・・・」
由美が可愛らしい笑顔を見せる。
「裕樹君どこ行く?」
「夜景の見えるレストランでも行く?」
冗談交じりにそんなことを言ってみる。
「うん。連れてって」
語尾に音符でもつけるように言う。
「え?本気?」
「少し本気にした」
どうせ、嘘だろう。そんな表情。
「いいよ。行こうよ」
僕は、財布の中にカードがあるのを確認した後言った。
「ほんとに!?」
「うん」
「やったぁ」
由美が僕の腕に絡みついてくる。
瞬時に僕の体温が上がった。
心臓の鼓動が速くなる。
「梨香さんとかと行くんじゃないのか?」
自分の声が少し動揺してるのが分かる。
「行くけど、君と行くことに意味があるんだよ」
「そっか」
僕らは渋谷の街中を歩く。
イルミネーションが綺麗だ。
こんな中で由美と過ごすこと。
僕はそれがすごく幸せに感じる。
クリスマス・・・か。
「ねぇ・・・裕樹君」
由美は僕から離れて目を見てくる。
「どうした?」
「君が好きです。これから・・・ずっとずっと」
周りにも聞こえる声。
通り過ぎる人たちが僕らの方を向きながら歩いていく。
「ありがとう。けど、こんなとこで言うなよ・・・」
僕はそう言いつつも、人通りの多いこの歩道で君にキスをした。
由美の顔が赤くなる。
「こ・・・こんなとこで。すごく恥ずかしいんだけど・・・」
由美は唇を手の甲で抑えながら言う。
「そうだね」
僕は微笑する。
「むぅ・・・」
そう言って由美は走りだす。
「おい、由美!」
僕は彼女を追いかける。
「裕樹君、あんなところでするなんて反則だよ」
「ごめんごめん」
由美は僕のその言葉を聞いた後、立ち止まった。
そこは誰もいない路地裏。
照明はあまりなく明かりが乏しい。
「少し暗いね」
僕は周りを見渡す。
「ここの方がイチャイチャできるじゃん」
由美はそう言って僕にキスをする。
「由美・・・」
僕は反射的に由美を抱きしめた。
「裕樹君・・・」
由美は僕の背中に手を回した。
この時間が永遠に続けばいいのに。
僕は本気でそんなことを考えた。
けど・・・この五分後にその想いは無情にも打ち崩されるんだ・・・。