112話 蓮と夏帆 | love storys  ~17歳、私と君と。~

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どれだけ、時間が戻ればと思っただろう。

どれだけ、彼が愛おしいと思っただろう。

どれほど・・・

       私は君との未来を願っただろう。

インターホンが鳴った時には、もう学校に行く準備はできていた。


そして、昨日とは全く違う甲高い音を聞いて私は家を出る。


足取りが重い。


昨日はあれほど嬉しかったのに・・・。


もし、昨日私が彼の電話を聞いてなかったから・・・私は今日も軽い足取りで家を出れただろう。


冷たい風が私の体を通り抜けた。


「おはよう」


彼は笑顔で言った。


その笑顔で私は満たされる。笑顔になれる。


嬉しくなれる。


けど・・・今日は嫌悪感を感じる。


「行こう」


彼は私の手を握った。


彼の温度を感じた途端、私は反射的に手を離した。


「どうした?」


彼は驚いたように私を見た。


そらそうか。


今まで、こんなことをしたこと一度もなかったんだから。


「自分で考えてみてよ・・・」


私は先を歩く。


「なんだよ・・・」


彼は強引に私の手を握った。


私は彼の顔を見る。


・・・少し焦っているように見えた。


夏帆のため・・・か。


私は内心肩をすくめて苦笑した。


その時、一つの疑問が頭の中を廻った。


夏帆は何のためにこんなことをしてるんだろう・・・?


何で私を傷つけようとしているのだろうか・・・?


それは今目の前にいる彼氏に聞けばいいか。


私は強引に掴まれた手を離そうとする。


しかし、流石に男の子の力には勝てないので、手は離れない。


「何かした?俺・・・?」


「ばれてないと思ってるんだ・・・?」


「え・・・?」


彼の表情が青ざめていく。


「夏帆・・・だよね?」


私の言葉を聞いて彼は手を離した。


「なんで、夏帆はこんなことしたの?」


彼は口ごもる。


「ねぇ・・・」


「ごめん。分からないんだ」


「じゃあ、理由も知らずに言いなりになってるんだ?」


「うん・・・」


彼は気不味そうにうなずいた。


「一応聞いときたいんだけど・・・いいかな?」


「何・・・?」


「私のこと好きではないんだよね・・・?」


少しの沈黙が流れる。


彼は俯いたまま返事を言わない。


「聞いてる?」


私たちの間に冷たい風が一条通り抜けた。


そして・・・彼が口を開く。