インターホンが鳴った時には、もう学校に行く準備はできていた。
そして、昨日とは全く違う甲高い音を聞いて私は家を出る。
足取りが重い。
昨日はあれほど嬉しかったのに・・・。
もし、昨日私が彼の電話を聞いてなかったから・・・私は今日も軽い足取りで家を出れただろう。
冷たい風が私の体を通り抜けた。
「おはよう」
彼は笑顔で言った。
その笑顔で私は満たされる。笑顔になれる。
嬉しくなれる。
けど・・・今日は嫌悪感を感じる。
「行こう」
彼は私の手を握った。
彼の温度を感じた途端、私は反射的に手を離した。
「どうした?」
彼は驚いたように私を見た。
そらそうか。
今まで、こんなことをしたこと一度もなかったんだから。
「自分で考えてみてよ・・・」
私は先を歩く。
「なんだよ・・・」
彼は強引に私の手を握った。
私は彼の顔を見る。
・・・少し焦っているように見えた。
夏帆のため・・・か。
私は内心肩をすくめて苦笑した。
その時、一つの疑問が頭の中を廻った。
夏帆は何のためにこんなことをしてるんだろう・・・?
何で私を傷つけようとしているのだろうか・・・?
それは今目の前にいる彼氏に聞けばいいか。
私は強引に掴まれた手を離そうとする。
しかし、流石に男の子の力には勝てないので、手は離れない。
「何かした?俺・・・?」
「ばれてないと思ってるんだ・・・?」
「え・・・?」
彼の表情が青ざめていく。
「夏帆・・・だよね?」
私の言葉を聞いて彼は手を離した。
「なんで、夏帆はこんなことしたの?」
彼は口ごもる。
「ねぇ・・・」
「ごめん。分からないんだ」
「じゃあ、理由も知らずに言いなりになってるんだ?」
「うん・・・」
彼は気不味そうにうなずいた。
「一応聞いときたいんだけど・・・いいかな?」
「何・・・?」
「私のこと好きではないんだよね・・・?」
少しの沈黙が流れる。
彼は俯いたまま返事を言わない。
「聞いてる?」
私たちの間に冷たい風が一条通り抜けた。
そして・・・彼が口を開く。