93話 楓の予感 | love storys  ~17歳、私と君と。~

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どれだけ、時間が戻ればと思っただろう。

どれだけ、彼が愛おしいと思っただろう。

どれほど・・・

       私は君との未来を願っただろう。

~side裕樹~


由美・・・君は今何をしていますか?


今から、僕はそっちに向かう。


君と会った時・・・どんな運命が二人を待ってるだろうか・・・?


「着いたね。北海道」


楓が話しかけてきた。


「そうだね」


僕は空を見上げる。


都内より澄み渡った空。


まあ、きっとそれはただの先入観なんだろうけど。


「裕樹、楓。バスに遅れるぞ?」


後ろから声がして僕らは振り返る。


「隼人。ごめんごめん。すぐ行く」


僕がそういうと隼人は「早く来いよ」といって先にバスの方に向かった。


最近隼人とは仲良くなった。


最初はあまり仲良くなかったのだが、一度あっちから話しかけてきて徐々に・・・だ。


ただ、これが夏帆をさらに苦しめる一つの原因でもあるのだが。


一条の風が吹く。


ささやかなそよ風が。


「嫌な予感がするなぁ・・・」


ふと楓がそんなことを口にした。


「え・・・?なんで?」


僕は楓を見る。


その楓の表情はまるでいつもと違う。


「なんで・・・だろうね?そんな予感がするんだ」


楓も僕の方を見る。


なんでも見抜くような透き通った目。


いつもの楓の表情とは全く違う。


なにが?


真剣な・・・まるで冗談を言っているようには聞こえない。


本当に・・・嫌なことが起きるような・・・そんな表情だ。


「予感って・・・」


「なんてね。私のカンはいつも外れるから気にしないで」


途端に楓の表情が崩れる。


いつもの楓だ。


「早くバスに乗ろ?」


「うん」


「じゃあ、競争しよ。よーいどん!!」


楓はそう言って走り出す。


「ちょ・・・ちょっと待てって・・・」


僕はその後を追いかける。


・・・ていうか、バスまでそんなに距離はないのに。


でも、楓といると楽しい。


心からの僕の気持ちだった。




この時、楓のことをバスの窓から羨ましそうに見ている夏帆に僕は気付かなかった。