「由美・・・」
蓮君が私の手を握って少しことら側に体重をかける。
「何・・・かな?」
この先に起きる展開。さすがにここまでくると明確に分かった。
さすがに鈍感な私でも。
そして、彼は一瞬躊躇していたが、意を決したかのように私を押し倒した。
私は無抵抗でベッドに仰向けになる。
彼はまたがるように上に乗ってくる。
そして、顔を近づけてきた。
目の前にある顔。
彼は小さな声で一言言った。
「ごめん・・・」
その後、彼がキスをしてくる。
今まで蓮君がしてきたのとはまるで違うキスだった。
何か・・・違う。
いつもの優しいキスじゃなくて力強いキスだった。
今日の彼はいつもとは全く違い積極的だった。
まるで人が違うくらい。
彼の右手が私の胸に触れる。
「ん・・・」
私は当たり前のように反応する。
そして、声を上げた時、当たり前のように少し口を開けたのを彼は見逃さなかった。
いや・・・それを狙ってのことかもしれない。
彼の舌が私の口の中に入ってきたんだ。
今日だけはこのキスをしたくなかった。
公園とかでする分にはいい。
人目さえあまりなければ。
ただ、このシュチュエーションだ。
密室で二人きりでベッドの上。
これで、深いキスをしてどうにもならないはずがない。
そして、完全に蓮君にその主導権を握られたんだ。
彼の手は私の胸に置かれたまま。
その時、彼は私から唇を離した。
私は一瞬困惑した。
いや・・・ちがう。
ただ、やめてほしくなかっただけなのかもしれない。
けど、彼は別に私の期待を裏切ったわけじゃない。
彼が私の唇にキスをする。
自分の気持などは関係なく勝手に体は反応する。
彼は手探りで私のパジャマのボタンをはずしていく。
私はそれを拒むことはない。
彼の首の後ろに手を回すだけ。
そして、全部のボタンが外れた時彼はいったん離れて、優しく服を脱がしてきた。
私の上半身に衣類が完全になくなる。
その姿を直視している蓮君から私は顔を赤くして顔をそむけた。
「どうしたの・・・?嫌だった・・・?」
彼が気遣うように聞いてくる。
「嫌じゃないよ。ただ、恥ずかしいだけ・・・」
その後のことは誰もが想像できること。
二人は生まれた時の状態に戻って一つになったんだ。
初めての相手は蓮君。裕樹君じゃなくて・・・。
彼が「ありがとう」と言って部屋から出て言った後に
私はそのことを思ったんだ。
そして、裕樹君の顔を思い浮かんだ時、私の目から涙が零れる。
私は無意識のうちに携帯電話を手にとって裕樹君に電話をかけていた。
『もしもし?』
裕樹君の声が聞こえる。
私の涙が滝のように流れ出した。
『ごめんね・・・』
そう言って電話を切る。
それ以上何も言えなかったんだ。
蓮君と一つになること。
全く嫌じゃなかった。
嬉しかった。
だから・・・そんな自分が許せない。
「うわあああああぁぁぁぁ」
私はベッドに顔を伏せて泣いた。