「一緒に回らないかな?」
下を向いて恥ずかしそうに彼は言った。
私にとってその言葉は何よりうれしい言葉だった。
一人で途方に暮れている私に優しく手を差し伸べてくれたんだから・・・。
「どこに連れて行ってくれるの?」
私は少し偉そうに聞いた。
このジョークに彼は
「お嬢様の行きたいところで」
そう言って私の手を優しく持って・・・手の甲にキスをした。
「なっ・・・」
顔の温度が急激に上がる。
普段のキスよりよっぽど恥ずかしい。
人前だし・・・。
でも、嬉しいことも確かだけど・・・。
そして、私たちは歩き出す。
・・・この日の自由行動はれんくんとずっと一緒に回っていた。
すごく楽しくて・・・。
でも心の隅に少し罪悪感があった。
もちろん裕樹君。君に対してだ。
二日目はクラスでの札幌観光。
この日が一日目より長く感じたのは言うまでもない。
そして・・・三日目。
夜、裕樹君に電話で一言だけ「ごめんね」って言った日だ。
あの日の朝はまだ、あんなことになるとは思ってなかった。
だって・・・蓮君私は君を信じていたから。
でも、私は蓮君との過ちを犯したことに対して裕樹君に謝ったんじゃない。
それに対して少しでも幸せであり嬉しいことだと自分が感じてしまったことによる懺悔の言葉。
嫌だと感じなかった自分に驚いた。
受け入れた自分に驚いた。
その気持ちを裕樹君に会ったときに隠せる気がしなくて・・・
いや・・・違う。
ただ、理由もなくだけど君に謝りたかったんだ。
私の大事な恋人だから。
今日は裕樹君が北海道に来る日。
私たちの四日目の朝だ。
私は今座っている、シングルベッドを見る。
昨日私はここで・・・。
このことを考えれば考えるほど裕樹君に会いづらくなる。
確か一日目は小樽の空港に着いてそのまま旭川って言ってたな・・・。
それで二日目に稚内・・・。
私たちも明日稚内に行く。
多分明日に会えるだろう。
それまでに・・・このことを忘れたい。
けど、脳裏から離れないんだ。
昨日の夜のことが・・・。