「じゃあ・・・ここで・・・」
私が裕樹君との連絡の方法を考えていた時、
彼が言った。
どこにでもあるような曲がり角。
建物が多く、日陰で、なおかつ歩道を歩いている人からは
死角になっている場所。
「あ・・・ここで曲がるの・・・?」
まっすぐに進もうとした私は思わず立ち止まる。
「うん・・・由美の家はここから近い?」
「ん~・・・まあ、近いかな」
私がそう言うと、彼は
「じゃあ、送って行っていいかな?」
「いいかなって・・・。送っていくよ。でしょ?」
私がため息交じりにそう言うと
「うん。じゃあ、送ってくよ。その前に少し休まない?」
彼がふいにそう言った。
「え・・・ここで・・・?」
私は周りを見渡す。
「違うよ。目の前の公園で」
私は彼が指差した方を見る。
そこは大きな公園。
帰り道結構通るのに公園があったなんて知らなかった。
私たちは公園の中に入る。
木が多くて日陰になっている場所が多かった。
それに、隣になる道路とかが木によって視界を遮り、
公園だけの空間みたいになっていた。
彼は近くにあったベンチに座る。
少し右側に。
私は彼によって空けられた左側に座る。
タクシーの時より近い距離だ。
椅子が小さいせいで。
それに、少し木の板が歪んでいて座りづらい。
まあ、そんな文句彼の目の前で言うはずないけど。
私は彼の方を見る。
彼は下を向いて何かを考えているようだった。
・・・大方、私と話すときの最初の一言でも考えているんだろう。
仕方なく、私から話しかける。
「ねぇ・・・」
「うん!?」
彼の声が少し上ずる。
可愛い・・・。
顔カッコよくて性格可愛いってのも珍しい。
可愛いのはたまにだけど。
これで、童顔だったら完璧だな。
「蓮って呼ばれるのと蓮君って呼ばれるの・・・。どっちがいい?」
話す話題もなかったし、とりあえずどうしようと迷っていたのを聞いてみた。
「蓮君の方がいいな」
・・・即答かよ。
「わかった」
そう言って彼を見た時、私は自分に嫌気がさした。
なんでか・・・。
それはとても単純であってはならないこと・・・。