授業が終わり、下校となった。
今日一日で、何人の女の子に話かけられらことか・・・。
すこし疲れた・・・。
僕が帰り仕度をしていると、楓が
「一緒に帰らない?」
と僕を誘ってきた。
「いや・・・それはちょっと・・・」
僕はそれを断る。
別に嫌って訳じゃない。
けど、僕には由美がいる・・・。
その想いのおかげで僕は断れたんだ。
僕は少し残念がる楓に小さな罪悪感を感じながら、
一人で校門を出た。
その時、僕の中に一つの疑問が浮かぶ。
もし、この誘いが記憶がある夏帆からの誘いだったら・・・。
そうだったら、僕は楓の時と同じように簡単に断ることができるだろうか?
今、実際に考えればありえないこと。
けど・・・。
もし、OKを出してしまう自分が心の中にいるのなら・・・。
そんな自分は消し去らなくてはならないんだ。
「はぁ・・・」
僕は一つ大きなため息をついた。
そして、携帯を開く。
「メールは・・・まだ来てないか・・・」
少し、由美からのメールを期待していた。
由美からのメールが僕の気持ちを浄化してくれるかなと思ったんだけど・・・。
最寄駅について僕は、携帯を閉じて歩き出す。
「あの・・・」
その時、後ろから声をかけられた。
僕はその場に立ち止まる。
その声はすごく・・・聞き覚えのある声。
透き通った少し高めの声だ・・・。
誰だかわかった。
だから少し振り返るのが怖い。
だってきっと・・・『君』は僕のことを
『大切な人』とかじゃなくて『転校生』として・・・
ただの興味本位で声をかけてきたにすぎないのだから・・・。