10分前に着いたにも関わらず、
彼女はそこにいた。
「来るの早いね」
僕は自転車を止めて、彼女の前に立つ。
「拓也君が来るの遅いだけだよ」
真美が言った。
「10分前なんだけど・・・」
「私は20分前からいたよ」
真美は自慢気に言った。
・・・自慢する事なのか?
「女の子を待たせたお詫びの言葉は~?」
真美は笑いながらそう言った。
「うん。じゃあ、すいません」
僕は一礼した。
「うん。OK。よろしい」
彼女はそう言って、僕に笑顔を見せる。
ずるいな~・・・。この笑顔。
可愛いすぎる。
「じゃあ、中に入ろ!」
彼女はそう言って、僕の手を引っ張る。
その手はいつもとは違い少し、冷たかった。
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「魚綺麗だね~」
真美が興奮しながらそう言った。
「水族館に来たことないの?」
僕がそう聞くと
「小さいころに一回あるよ」
巨大な水槽を眺めながら彼女はそう言った。
そのあと、僕の方を振り向いて
「拓也君は?」
と聞いてきた。
「僕は・・・」
あれ・・・?どうなんだろう?
水族館・・・。
昔、来たことがある・・・気がするんだ。
けど、いつとかの記憶がない・・・。
じゃあ、行ったことはない?
いや・・・けど、この水族館を見たことがある。
どこの水族館でもなくこの水族館を・・・。
外装の色や形。
水族館の中に入って最初に見える、イルカの模型。
そして内装。
見たことあるんだ。
じゃあ、テレビで見た?
こんなに知名度の低い水族館が?
ありえない。
なら、デジャヴ・・・とか?
違う!!
もしそうなら、なんだ!?
この鮮明な記憶は!?
僕はいつここに来た?
そして、だれと来たんだ・・・?