14話 誰もいないこの瞬間 | love storys  ~17歳、私と君と。~

love storys  ~17歳、私と君と。~

どれだけ、時間が戻ればと思っただろう。

どれだけ、彼が愛おしいと思っただろう。

どれほど・・・

       私は君との未来を願っただろう。

今日一日の授業が終わり、下校の時刻となる。


部活がある人は別だけど・・・。


幸い、僕は部活に入っていないので下校だ。


帰るときは、イヤホンを装備して、周りの音が聞こえなくなるくらい大音量で音楽を流す。


車のクラクションさえ聞こえない。


危ない?そんなことはわかってるけど・・・。


でも、普段の自転車での登校のときは、少し音量を下げる。


じゃないと、さすがに事故に遭うから・・・。


でも、今日は歩き。調子に乗って音量を最大まであげた。


・・・耳が痛い。


こんなでかい音でだれが聴くんだ?


こんなでかい音、作る必要なかったんじゃ・・・。


耳が悪い老人が聴くためか?


てか、老人はイヤホンつけて音楽聴かないだろ・・・。


僕は、少し音量を下げてから歩きだした。


下げたとはいっても、周りの声、音は一切聞こえない・・・。


聞こえないはずなのに、僕を呼ぶ声が聞こえた。


透き通った可愛らしく、けれども、少し大人びた声・・・。


僕はイヤホンをはずして振り返る。


「真美・・・」


そう。そこにはやっぱり真美がいた。


「恋人って一緒に帰るもんじゃないの?」


真美は少し不満そうな顔をしていた。


「そうだな。ごめん」


「許さな~い」


彼女は舌をだしてそう言った。


それが、とても可愛らしい。


真美が僕の隣のならんだ。


心臓が高鳴る。


少しの間、僕たちは無言のまま歩き続ける。


好んで無言でいるわけじゃない。


何を話そうか必死で考えているんだ。


真美の方をみる。


・・・本読んでる・・・。


ほんと、真美はわからない。


二重人格でももっているんじゃないだろうかって思うほどだ。


さっきは、舌をだして可愛らしかったのに、いつのまにかクールなキャラだし・・・。


大人っぽいと可愛らしいの両方を使える器用な女の子だ。


いや・・・違う。


彼女の本を読むときのぎこちなさで一つの答えが浮かんだ。


ただの照れ隠し。


僕といる時はなるべくクールにみせようとだけなんじゃないか・・・?


顔が赤くならないように。


だから、彼女は大人っぽさは持ち合わせていなく、ただ可愛らしさがあるだけ・・・。


静かにしてれば、クールに見えるけど。


けれど、こっちだって緊張してる。


何を話そうか・・・。


そして浮かんだ答え


「好きな歌とかってある?」


・・・すごい不甲斐ない・・・。すると真美が本を閉じて


「緊張してるの?」


いじわるそうに聞いてきた。


けど、これは真美のただの強がりだってことに気づく。


それはなぜか?


真美が本を閉じるとき、しおりを挟むを忘れ、前回のとこで止まったままだから。


けれど、そこは察していないようにする。


「好きな人が隣にいたら緊張するだろ」


僕がそう言うと、真美のメッキが剥がれる。


「う・・・。私も緊張してるよ・・・。けどさ、手ぐらいはつなごうよ」


真美の顔は赤かった。


素に戻ってる。


その真美の表情にドキッときた。


「真美」


僕が呼ぶと、真美は僕の方を向いた。


まだ、顔は赤いまま。


二人の目が合う


河川敷の道路の真ん中


16時32分


周りにちょうどだれもいないこの瞬間


僕は彼女の唇に自分の唇を重ねた。