今日一日の授業が終わり、下校の時刻となる。
部活がある人は別だけど・・・。
幸い、僕は部活に入っていないので下校だ。
帰るときは、イヤホンを装備して、周りの音が聞こえなくなるくらい大音量で音楽を流す。
車のクラクションさえ聞こえない。
危ない?そんなことはわかってるけど・・・。
でも、普段の自転車での登校のときは、少し音量を下げる。
じゃないと、さすがに事故に遭うから・・・。
でも、今日は歩き。調子に乗って音量を最大まであげた。
・・・耳が痛い。
こんなでかい音でだれが聴くんだ?
こんなでかい音、作る必要なかったんじゃ・・・。
耳が悪い老人が聴くためか?
てか、老人はイヤホンつけて音楽聴かないだろ・・・。
僕は、少し音量を下げてから歩きだした。
下げたとはいっても、周りの声、音は一切聞こえない・・・。
聞こえないはずなのに、僕を呼ぶ声が聞こえた。
透き通った可愛らしく、けれども、少し大人びた声・・・。
僕はイヤホンをはずして振り返る。
「真美・・・」
そう。そこにはやっぱり真美がいた。
「恋人って一緒に帰るもんじゃないの?」
真美は少し不満そうな顔をしていた。
「そうだな。ごめん」
「許さな~い」
彼女は舌をだしてそう言った。
それが、とても可愛らしい。
真美が僕の隣のならんだ。
心臓が高鳴る。
少しの間、僕たちは無言のまま歩き続ける。
好んで無言でいるわけじゃない。
何を話そうか必死で考えているんだ。
真美の方をみる。
・・・本読んでる・・・。
ほんと、真美はわからない。
二重人格でももっているんじゃないだろうかって思うほどだ。
さっきは、舌をだして可愛らしかったのに、いつのまにかクールなキャラだし・・・。
大人っぽいと可愛らしいの両方を使える器用な女の子だ。
いや・・・違う。
彼女の本を読むときのぎこちなさで一つの答えが浮かんだ。
ただの照れ隠し。
僕といる時はなるべくクールにみせようとだけなんじゃないか・・・?
顔が赤くならないように。
だから、彼女は大人っぽさは持ち合わせていなく、ただ可愛らしさがあるだけ・・・。
静かにしてれば、クールに見えるけど。
けれど、こっちだって緊張してる。
何を話そうか・・・。
そして浮かんだ答え
「好きな歌とかってある?」
・・・すごい不甲斐ない・・・。すると真美が本を閉じて
「緊張してるの?」
いじわるそうに聞いてきた。
けど、これは真美のただの強がりだってことに気づく。
それはなぜか?
真美が本を閉じるとき、しおりを挟むを忘れ、前回のとこで止まったままだから。
けれど、そこは察していないようにする。
「好きな人が隣にいたら緊張するだろ」
僕がそう言うと、真美のメッキが剥がれる。
「う・・・。私も緊張してるよ・・・。けどさ、手ぐらいはつなごうよ」
真美の顔は赤かった。
素に戻ってる。
その真美の表情にドキッときた。
「真美」
僕が呼ぶと、真美は僕の方を向いた。
まだ、顔は赤いまま。
二人の目が合う
河川敷の道路の真ん中
16時32分
周りにちょうどだれもいないこの瞬間
僕は彼女の唇に自分の唇を重ねた。