スコーンの思い出。(再投稿) | 50代を適当に生きるブログ

昔、私と夫はクラスメイトでした。

彼は私に、「ブ~ス」とか「バ~カ」みたいな事を毎日言っていました。

毎日、毎日、からかわれていました。

 

私はそれに対し、特に怒ったりしなかったです。逆に「気楽」でした。
彼の素直さに、とにかくウケてしまい

「そっかぁ~・・・ごめんネ(笑)」と言う感じだったのです。

とても楽しく、一瞬で学生生活は過ぎて行きました。

気が付いたら、私達は社会人となっていました。

ある日、私達は喫茶店にいたのですが
そこのおすすめ商品は、スコーンセット。

 

スコーンとか、カップケーキとかしか取り扱っていない

アフタヌーンティー的要素のとても可愛らしいお店。

私は彼に「・・・○○君(彼の名前)、スコーンって好き?」と聞きました
彼は、「え?好きじゃないけど?(笑)」と答えました。

私はスコーンセットを注文しましたが、彼はコーヒーだけを頼んでいたのです。

別に・・・普通に・・・喜んで・・・食べ続ければ良かったのですが・・・
急に・・・説明できない・・・悲しさが襲って来たのです・・・

心に・・・重い何かが・・・急激に・・・思いっきり・・・圧し掛かる・・・

「・・・・・・じゃあ・・・何でこのお店に入ったの?」
「え?正美ちゃんが、こう言う感じが好きだと思ったからだよ?(笑)」


「・・・私・・・今日・・・こんなワンピース・・・着ちゃったけど・・・どう思う?」
「え?女の子っぽいと思うけど?(笑)」


「・・・○○君・・・まさか・・・・・・・・・・・・・・・お金払ってくれるの?」
「え?払うよ。一応、男だし?(笑)」

と言う、謎の会話が・・・延々と続いていました。
彼に・・・どうでもいい事・・・真剣に・・・延々と質問してしまう。

もう、止まらない。どうしよう。

 

当時、上手く言葉にできなかったのですが
今、ハッキリ言える事があります。


私は彼に、背伸びは一切望んでいませんでした。
私自身も、背伸びは一切したくなかったです。

「同級生の感覚のまま」でいたかったのです。

恋愛に関して、背伸びし過ぎて空回りし

相手に合わせ過ぎて、いろいろな大後悔や、大失敗が多かったからです。

恋愛なんて・・・もう絶対にしたくない・・・

付き合うって・・・結局・・・何なんだろう・・・?

深く考え込んでしまって・・・わけがわからなくなっていました・・・
私達・・・あんなに・・・ふざけ合っていたのに・・・
あんなに楽しく・・・何も考えず・・・ただ、ただ、無邪気に遊んでいたのに・・・


”付き合う”ってなった瞬間に・・・私達・・・何故かカッコ付けてる・・・
彼は急にスコーンとか取り扱っているお店を選んでくれて・・・
私は似合いもしないワンピースとか着ちゃって・・・
仲良しだから、友達だから、大好きだから、常に割り勘にしていたのに・・・

彼は急に、男だからお金を払うって・・・奢るって・・・


私・・・悲しみがとまらない・・・
私・・・杏里さんレベルで(?)・・・悲しみが・・・とまらない・・・(涙)

と言う、謎のテンション(汗)(汗)(汗)

私は友達から、「謎のテンション」と言う言葉をよく言われます。
学生時代から何十年も友達に言われ、注意され続けているのですが

最初に私にその言葉を言った人は、彼(夫)でした。

「困った人だね~(笑)、正美ちゃんには謎のテンションがあり
何を喜んでくれるのか?何を望んでいるのか?
何をそんなに深く考え込んでしまうのか?全く分かららないよ?(笑)
”私、何も考えて無い”って いつも言うけれど、実は相当なアホ哲学者だろ?(笑)
黙って女の子っぽい可愛いカッコしてくれて、黙って喜んでスコーン食べてくれて
黙って奢らせてくれたら、僕はこの先、相当 楽なんだけど?(笑)

それの何が駄目なの?何をそんなに落ち込んで、悲しんでいるの?(笑)

好きな子を喜ばせたいって、普通の感情じゃない?(笑)」

「・・・私は楽じゃない・・・今・・・凄い苦しい・・・・・・普通じゃない・・・

○○君が・・・以前、何かの雑誌を見て、ワンピース着てる女の子を・・・
可愛いって言ってたから・・・その感じのワンピースを思わず買っちゃったんだけど・・・
結局・・・全然、似合わない・・・自分に嘘ついてる・・・馬鹿だって思う・・・

今日は・・・本来の私じゃないんだ・・・

今・・・強烈に恥ずかしい気持ちと・・・後悔の気持ちで一杯なんだ・・・
○○君が・・・このお店より・・・スコーンより・・・
絶対にラーメンの方が好きだって・・・私・・・知ってたのに・・・
「素」でいたいけど・・・私はもう、普通に話せない・・・自信が無い・・・

付き合うってなると・・・多分、嫌われる・・・いつか、絶対に嫌われる・・・

別れる事が・・・もう怖くなってる・・・

楽しい日々が終わっちゃう事が・・・怖くなってる・・・

ねぇ・・・・どうしてカッコつけたくなっちゃうの?!

何で急に、お互いにカッコつけたくなっちゃうの?!
「付き合う」って・・・結局・・・何なの???

「普通」って・・・結局・・・何なの???

分からない・・・私・・・全てが分からない・・・

この先・・・どうしていいのかが分からない・・・
別に・・・悪い事をしているわけではないのに・・・

常に”ごめんなさい”って言いたくなってる・・・
今のこの状況の全てが間違っている様な・・・○○君に本当に申し訳無い様な・・・
とても苦しい気持ちになってしまうんだ・・・(涙)(涙)(涙)(涙)(涙)」


結局 私は、彼の前では「子供」でいたかったんだと思います。
すっと、ずっと、彼と教室の中で大爆笑し、ふざけ合って
ただ、ただ、前を走る彼を追いかけて

走り回っていたかったんだと思います。

 

でも私達は「子供」では無く、もう「男」と「女」だし

時は延々と流れて行くのです。

 

「延々」と・・・と言うより、「自然」に流れて行くのです。

 

スコーンを買ったり、スコーンを作ったりする度に

この「苦しい日」の事、「友達と恋人の境目の日」の事を思い出しますが

 

今は、何とも思わないスコーン。(笑)

夫の大好物のスコーン。(笑)

 

我家の朝御飯だし、平凡で、とても気楽な

ただの日常風景。