責任とリスクの懸念 | ヨッティのブログ

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障害者福祉サービスは、難病や障害を抱えている僕らが社会で暮らしていくためにはなくてはならない制度です。この制度のお蔭で、重い難病や障害を抱えていても、在宅などで手厚い支援を受けられるようになり、当事者が自分の生き方を自分で選択できるようになりました。

 

数十年前では考えられなかったことです。一昔前は重度の難病や障害を抱えている人は、家族の手を借りて在宅で生活するか、または病院や施設に入るか、二つの選択肢しかありませんでした。

 

在宅で家族が介護するにしても、今の福祉サービスのように充実していなかったと思うし、家族に掛かる負担が大きくなってしまう。在宅だから自由な生活ができるという保証はありませんでした。

 

映画「こんな夜更けにバナナかよ!」のモデルになった鹿野さんは、ボランティアを募って独り暮らしをしていたわけですが、これはかなり稀なケースです。如何に鹿野さんが凄い方だったのかが理解できます。

 

この十数年で福祉制度も、措置制度、支援費制度、障害者自立支援法、障害者総合支援法と幾度となく変化を繰り返しながらも充実化が図られてきました。

 

現在の障害者福祉サービスの中に、重度訪問介護というのがあります。これは常に介護が必要な重度の肢体不自由または知的障害、精神障害を抱えている方の生活介護を総合的に行うものです。この制度により、重度の難病や障害を抱えている方でも自立生活を送れるようになりました。

 

療養介護を受けて病院に入院している方も重度訪問介護のサービスを受けられるようになりました。僕も病院で療養生活を送っているので、外出の際に重度訪問介護を利用することがあります。しかしながら、僕は人工呼吸器を使用しているために、医療従事者または家族の同伴が求められます。

 

僕の重度訪問介護についての認識が不十分だったというのもあるが、僕なりに矛盾を感じる部分がありました。重度の障害を抱えている方への総合支援なのに、人工呼吸器を使用している方は何故に医療従事者または家族など同伴者が必要なの?とふと思ってしまいました。

 

介護事業所のヘルパーさんだけで対応できるなら、病院で長期療養されてる人工呼吸器ユーザーの患者さんも気軽に外出できるのになって素直に思ってしまいました。

 

それは各介護事業所の考え方や方針に寄るのだと理解できました。やはり大概の介護事業所は責任やリスクを懸念してしまうようです。人工呼吸器の取り扱いは医療行為に含まれるので、それなりのリスクは生じる。

 

ヘルパーさんが人工呼吸器に触れる機会なんてないだろうし、ましてや命に直結するものなので、怖いという意識が働いてしまうのも無理はない。責任やリスクというものが重度訪問介護の制度の幅を狭めている現実。

 

重度の難病や障害を抱えている方は、常に生活介護が必要なわけで、24時間の介護給付を受けなければ自立生活をすることは難しい。24時間介護給付の支給が認められたという前例も全国に幾つかあるが、それも自治体に寄って格差がある。そのような現実状況を打破しようと当事者が作り出した制度が、僕が実行しようとしている自薦ヘルパー制度です。

 

制度の仕組みの詳細は勉強不足でまだよく理解できていませんが、この制度の理念はすべて自己責任ということです。ヘルパーの募集・採用・シフト・解雇などの決定権は利用者に委ねられます。要するに実質的な雇用主になるということです。自己責任という理念が根底にあるので、ヘルパーさんの医療行為も可能になる。

 

自己責任というのは理解できるが、ヘルパーが自分の下に集まるのか?という不安はあります。いくら自己責任といっても介護するのはヘルパーさんなわけで、僕みたいな人間を介護するには当然リスクを考えてしまうと思います。

 

ヘルパーさんと僕との信頼関係を築くためには研修が必要であって、慣れるまでは時間が必要だと思います。僕の取説を細かく説明して、しっかりと把握してもらえるようにする必要があります。

 

そこに対して不安ばかりを口にしていたら、先に進めないことくらいは重々承知しています。でも、不安な気持ちを伝えておくことも僕は大事だと思っています。不安があるからといって僕は途中で歩みを止めたくはありません。完全自立するまでのプロセスを一つ一つクリアしていくことで、不安は解消されていくと信じています。

 

道のりは長く険しいものになるかもしれません。焦らずに慎重に進めていこうとは思っていますが、僕の年齢を考えてみても、そうも悠長にやってられないなって気持ちもあります。でも、焦り過ぎてしまってもつまづく危険性もあるので、慎重かつスピーディーに進めていければと思っています。

 

難しい壁もたくさんありますが、僕にはその壁に挑むワクワク感があるのも事実です。世界最高峰の山に登るような感覚です。実際に登ったことはないですが(笑)僕の雄姿を今後も暖かく、そして時には厳しく見守って頂ければ有り難いです。