ミテキタムシが「ミテキタ~」と鳴いた。
ザンルイ「…?」
ミテキタムシの8本の足が黄緑色に光った。その光が一つにまとまりザンルイの額に入った。
【ザンルイがみている夢】
ツクゥルofモンゼ演劇部 部室。机を4つ並べた上にリエが仰向けで寝ている。そこに他の部員5人と鈴芽が話しながら歩いてきた。
部員①(仮名.)(演技.)「さあ王子様、姫に口づけを!」
部員②(仮名.)(演技.)「永き眠りから覚ましてください!」
鈴芽は顔をリエの顔に近付けた。リエは両手で鈴芽の後頭部を押さえて自ら鈴芽に口づけをした。
鈴芽「!」
部員①②③④⑤(仮名.)「キャ~~!!」
鈴芽「…」
口づけは5秒だった。
鈴芽「こら。キスの前に目覚めるな。」
リエ「ヘヘ」
鈴芽「…もし意識があったとしても、'紅雪姫'(ベニユキヒメ)はずっと眠っていたんだから、口が臭くなっていると わかっていて、自分からキスしようとは思わないよ。」
リエ「アハハハハ」
部員③「やば~。」
リエ「紅雪姫の口が臭くなってるなんて、気付くの鈴芽 先生だけだよ! ハハハハ」
鈴芽「もう…。次からは普通に顔を近付けるだけですよ!」
リエ「は~い。」
【ザンルイがみている夢 ここまで】
ザンルイは額の上で何かが動いたのを感じた。
ザンルイ「ンアア!」
顔を振りながら上体を起すと、毛布の上にミテキタムシがいる。
ザンルイ「!…(地獄 中継で見た虫…。映像を出すやつだ。…'紅雪姫'の脚本を書いたのは陰陽鈴芽さん。…あれは実際あった事か。やるじゃんリエ先輩。…頭に乗せて眠ったら、もっと見られるんかな。)…いや、知らなくていいや。」
ザンルイはベッドから降りて靴を履いた。外套を着て、ミテキタムシを持ってゆき校庭に出た。冷たい風が吹いている。
ザンルイ「寒いね。ごめん。…バイバイ。」
ザンルイは地面にミテキタムシを置いて部屋に戻っていった。