これから読むストーリーはセックスを描くストーリーです。お苦手であれば読まないでください。
アオイは302号室のドアを開けたら視線に入ったのは仏画ポスターだ。アオイはお寺育ちでお母さんの跡を継ぐ者として育てられたが、高校を卒業した後、上京し一人暮らしの生活を始めて仏教やお寺の鎖から解放されたと生まれて初めて感じた。アオイはとうに分かっていた。自分が道外れの子だと。この仏画ポスターを見て回想しながら名前も知らない人の家に足を入れた。
ヤリモクだ。つまり、性欲を満たす目的の出会いをヤリモクと言うのだ。今夜の相手はすでにベッドの上に待っていた。外の街灯の淡い光はシャッターの隙間から忍び入り、アオイは彼の輪郭が窺えるぐらい見えた。「来てくれてありがとうな、何か飲む?」と彼が言った。
「いいえ、大丈夫です」とベッドに近寄りながらアオイは答えた。
マットレスの上に座ると、彼がパンツしか履いていないのを気づき、胸のがっしりした筋肉が見事な対称をなす。アオイの手は自ずとその胸を愛撫し、向こうの興奮が高まりつつ、指はみぞおちに沿って下へやさしく滑った。アオイの指はパンツのところまで着く直前に彼はその指を取り、そっと舐め始めた。アオイは瞑想するように深呼吸を繰り返し、濡れた指の先端から快楽の寒気が全身に走って肌が粟立った。するとアオイは唇に挟んだ指をやにわに外し、キスを交わした。二人の舌が絡み合った瞬間、彼は、熟練した動作でパンツを脱ぎ、素裸になった。アオイは彼を強く押しベッドから立ち上がり彼に微笑をやった。「何してるんだ?」と苛立った彼の声が部屋の中に響いた。立ち上がったまま、アオイは満足げに彼の体に目を落とした。脚を見、ペニスを見、へそを見、見れるだけ見る。やがて二人の目が合い、その時、艶めかしいしぐさで自分の服を脱ぎだした。
今回のセックスはよかったとアオイは隣に寝息を立てる相手を見ながら思った。彼のへそに汗が僅かにたまっていて人差し指を使ってハートを描き、彼の呼吸に自分の呼吸を合わせようとしている。彼は息を吸い、アオイも息を吸い、同じく、彼は息を吐き出し、アオイも息を吐き出すのだ。それを繰り返すうちにやっと得られたリズム、が、乱れ、合わせなく、なる。アオイはいつもセックスのあとそれを試しているが今まで息を長く合わせられた相手が現れなかった。とうとう乱れるかとアオイはふと思ったなり、自分のペニスを手で覆い、涙を堪えた。自分の家に帰りたくなったアオイはさっと自分の服を着た。玄関に立つと仏画ポスターがまた視線に入った。道外れにもいるんだな、と脳裏に浮かび外へ出た。