朝ドラ『虎に翼』で、寅ちゃんが、穂高先生の退任記念祝賀会で穂高先生の前で自分の信念を押し通した。
あの時代、女性で上司に対してあのような態度を取れた寅ちゃんは、やっぱりタダモノではなかった。(笑)
寅ちゃんは、穂高先生が好きなんだろうなあって思います。
自分をあの時代ハードルの高い法曹の世界に導いてくれた先生を尊敬もし感謝もしていたけれど、結婚して妊娠し、仕事中に倒れた寅ちゃんにかけた言葉は陳腐で平凡なものだった。(と、寅ちゃんは思っている)
「子どもが出来たら、家庭に入って良き母になること」
こんな言葉を予想していなかった寅ちゃんは、完全に心が折られたのでした。
そして、退任の言葉の中にも、寅ちゃんをガッカリさせるフレーズがあったのです。
自分は「デガラシ」と言いながら、それでも何かを残せたと自負する穂高先生。
「法律を一生の仕事と決めた時から、旧民法に異を唱え、ご婦人や弱きものたちのために声を上げてきたつもりだった」
と言いながら、
「ご婦人の社会進出、新民法の謳う本当の意味での平等、尊属殺の重罰既定の違憲性。デガラシも何も、昔から私は自分の役目なんか果たしていなかったかもしれない」
と後悔の念を吐露するのです。
寅ちゃんの中には、妊娠して出産して仕事を辞めたことが、すごい黒歴史として残っているんだと思います。
仲間だったよねさんにまで、そのことで「二度と来るな」と拒絶されてしまったからだ。
きっと穂高先生なら、
「これから大変だろうけど、仕事も子育ても頑張っていきなさい」
と背中を押してくれると思ったんでしょうね。
やっぱり好きなんですよ、穂高先生が。
尊敬し感謝していた先生が、
「大岩に落ちた雨だれの一雫に過ぎなかった」
と言ったのが悔しかったんでしょう。
理想のために、自分たち女性のためにも、もっと踏ん張ってくれる人だと信じていたんでしょうね。
あの時代で、今のように女性も活躍出来る時代にするなんて難しいことには違いないのだから。
寅ちゃんも、かなり無理なこと言ってるには違いない。
でもきっと穂高先生なら、この世の不条理をもっと解決してくれるのではという期待もあったのでしょう。
花束を渡せないほどのことかと、「ガキか!」と桂場が言う通りなんでしょう。
でも、今日の寅ちゃんに、私は共鳴したな。
因みに、穂高先生のモデルは、あの新1万円札の渋沢栄一の子孫穂積重遠東京帝大教授です。