夜9時の大通り、赤信号の前で消防車が赤い光を点滅させて停車しています。緊急車両なら赤信号無視で行けるはず、と思いましたが、ああ火事がここで起きているのかと思い直します。消防服を着た消防士が車から降りて来ますが、余り急いでいません。よく見ると歩道脇に何かが有る様です。消防車を避けて脇を抜ける時、それが年配の女性が倒れている事に気が付きました。事故でしょうか、事件でしょうか、熱中症でしょうか、でも何故消防車が、と思っていると向うから別の緊急車両が来ます。やっと救急車が来たようです。無事なら良いのですが。

 

目撃者の電話での緊急連絡によって、緊急車両はやって来ます。説明が不足すると多分今回の様な消防車がやって来るのでしょうか。車にはねられたバイクの隣を自転車で通った事が有ります。近くの交番から派遣された巡査が交通誘導をしていますが、一向に救急車はやって来ません。横たわるバイクの運転手はびくともせずに、ヘルメットから多量の血がアスファルトに流れ出しています。10分経ちますが何も起きません。20分経っても同じです。巡査は相変わらず緊張感無く誘導しているだけです。何と言って119番か110番に連絡したのでしょうか。30分後、漸く救急車がやって来ましたが、暫く巡査と話をして緊急退院は犠牲者を運んで行きました。

 

川で泳いでいた中学生が水没した時も同じです。警官と野次馬は集まりますが、レスキュー隊は30分後やっと到着、何もせずに何かを待って、それから1時間後まさしく中学生が居なくなった場所の底から遺体が出て来ました。無駄な人工呼吸を30分続け、何処かに運んでいかれました。

 

誰が、援護者に対し、どう支援要求をするのか。「駄目みたいですが」を最初に付けると、援護者はゆっくりやって来ます。たとえ嘘でも、「早くしないとヤバいです、お願いします」と言わないと。だから私は自分の治療者には「死ぬ程痛いです」「死ぬ程苦しいです」を必ず付け加える事にしています。