いつも長文すいません。

ここ2日間体の具合が悪くてどうしようも有りません。3日前に「鬼が岳」を歩いた為です。半年前に積雪の逆コースで「節刀ヶ―鬼が岳―鍵掛峠―王岳」を、呼吸は苦しいながらもなんとか登りました。今回は正式コースでしたが、本当に心臓と呼吸がおかしくなり、足も全く動かなくなりました。比較的なだらかな縦走路で、何度も倒れこんでしまいました。横になり5分、10分経っても呼吸と心拍数は下がりません。どうしちゃったのだろう、と心配すると同時に、今日中には家には帰れない覚悟もしました。結局這って降りて来ましたが、駐車場では立ち上がれなくなっていました。肺だけでなく、明らかに心臓も悪くなっているのでしょう。

 

googleフォトに3年前に高さ2800mの阿弥陀岳に登った時の写真が残っています。肺癌の手術前だったせいでしょうか、妻が私に分からないように取った私の登る動画が幾つか有り、その中に声が録音されているのも有りました。登頂し下る途中で休んでいる時に撮った物です。妻が聞きます「もう山には登れ無い?」。私はあちらの方向を向いたまま答えています「手術したらもう無理だ」。もう一度妻が聞きます「手術までにもう一度だけ登れる?」私は「こんな高い山は無理。低い山なら可能かもしれないけれど」。これだけの短いやり取りでした。実際、手術後やはり私は高い山には戻れませんでした。そして低い山も難しくなってきました。

 

手術後、年配のベテランらしい外科医が「1年も経てば又アルプスに行っているよ」と私の枕元で元気付けてくれましたが、やっぱりダメなのです。低山も無理になった私自身が情けなくて、登山用品店の傍を通る事も辛く感じ始めました。それでもまだ生きている事に感謝しています。誰しも年を取れば段々と色々な物を失い、妥協しながら死んで行くと思います。それでも肺癌の様に、一度に多くの物を失うと心の整理がつかなくなる事も有ります。整理しても整理しても、また悩んでしまうのです。辛いけれど整理を続け、もう一歩進むしか無いのでしょう。