500年前にミシェル・ド・モンテーニュは「私の人生は恐ろしい不幸に満ち溢れていた(思っていたが)、その殆どは起こらなかった」と言いました。その後多くの有名人が同じ名言を残しています。研究では、心配している事の85%は起こらない、でも15%は起きるのです。その15%の中の79%は思っていたより酷く無い、そう言う分析も有ります。つまり心配している事の97%は最悪の結果にならないと言うのです。

 

肺に影が有ると言われた時、私は85%を信じ、最悪の事態は起こらないだろうと信じていました。でも、CTや気管支鏡検査を受けるにつれ、私はそれを信じなくなりました。それから私は心理学を捨てました。

 

今日読んだエッセイの中で、ある精神医は、「あなたが今心配している、将来起きるかも知れない最悪の事を信じるな」と言います。たとえ科学的に、或いは統計的に最悪が起きる可能性が逆に97%(例えば)だとしても、残りの3%(例えば)だけを信じろと言うのです。実は3%は大きな数字です。先日ブログで書いた通り、私は会社の健康診断で肺癌が発見される0.1%に選ばれました。又一昨日書いたブログに有る、「ユトレヒト大学の言う効果の薄い薬」の効果は数%です。でもそれで10年、20年肺癌と付き合っている人はあちこちにおられます。ワンステップの長谷川さんを思い出せば分かります。

 

将来の最悪の事だけを信じて毎日を送ると、気分障害(うつ病、適応障害)、記憶力の低下、認知能力の低下につながります。運命は神様の領域、抗癌治療や祈る事や3%を信じる事は人間の領分です。精神を病むより、自分のやるべき事をやった方が生きている実感が得られる気がします。大腸癌で亡くなった私の父は自分の運命を決して信じていませんでした。今では思うのですが、きっと父は「わしは担当の先生には治療をお願いしていますが、わしの信じる3%(例えば)には入ってきて欲しくない」と思っていたのでは無いでしょうか。