TBSのドラマ「Anti Hero」の視聴率が10%を超えて止まりません。昨日の第7話もMiletさんの歌う「hanataba」が流れ始めると、来週はどうなっちゃうんだと気が気で無くなります。ご覧になっていらっしゃる方も多いと思いますが、人が正しいと考える事は、必ずしもその社会や時代で正しいとは限りません。それを疑わずに生きる私達にウクライナやガザの惨状と共に、このドラマは「正しさ」を問いかけて来ます

 

本屋で英検の問題を立ち読みしている時、こんな問題に出会いました。フランスでダ・ビンチ作とされる絵を買った米国人がそれを米国の美術館に販売しようとした時、ほぼ全ての画商と専門家がその絵は偽物と表明し、米国人はその絵を売るチャンスを失い裁判に持ち込みます。全ての専門家はルーブル美術館に有るダ・ビンチが本物で、その絵は偽物だと証言しますが、裁判は負けてしまいます。裁判官はルーブル美術館に収められている絵が本物だとする証拠は有るのか、と問います。本当の意味で正しさを証明する方法が無かったのです。今は顕微鏡やX線分析技術が発達し、この絵が何処で何時描かれたか分かります。それでも誰が書いたか迄は分かりません。基準や常識は本当に正しいのか?心に何かを問われた気がしました。

 

私達の病気と生、治療と予後は標準治療が基準となり、どの病院でも同じ治療が成されます。何万件もの事例から導き出した統計学的データが根拠ですが、それが個々の人間に当てはまる「正しさ」かどうかは分かりません。ワンステップの長谷川さんを始め多くの先輩達が、正しさの確率は100%ではない事を証明しています。どちらも経験則に基づき、正しく、正しくない現実です。

私達は今、不思議な世界に生きているのかも知れません