東京から10時間運転し香川県の母をピックアップし、翌日岡山の倉敷に行きました。倉敷には太原美術館とその周りの、中国蘇州に似た水路と古い建物を見学しました。四国に18歳まで住んでいたのですが、倉敷には1度しか来た事が無く、妻も初めてだったので楽しく観光出来ました。やはり外国の観光客の方々が多いですね。

 

母を感動させたのは、倉敷の街より、そこから30km程先に在る小さな吉備町の村でした。そこには日本の探偵小説を近代化させた、横溝正史が戦争中に疎開した場所(横溝正史祖開宅)が有ります。ミステリー大好きな92歳の母は大興奮です。私も横溝正史の主要作品は大体読んでいるので、案内係のおばあさんの言う事は殆ど分かります。実は主要作品の「本陣殺人事件」は此処で執筆され、「獄門島」「八墓村」の構想はここで練られました。毎年秋には金田一耕助が初めて登場する場面の「清音駅」から様々な作品の舞台設定になった場所を、それぞれが仮装して練り歩く大会も開かれています。母は「悪魔のてまり歌」に登場する『おりん婆さん』に仮装して参加したい夢を持っています。

 

若い頃からホラー的なミステリーに凝った母は92歳になっても読み続け、その記憶力は衰えず、説明員のおばあさんと張り合う知識量です。きっと秋には私も『助清』に扮して二人で仮装行列に参加する事でしょう。お互い老衰と肺癌を競っているので、出来る事は今やらないと。今回、横溝正史祖開宅に行く事を強く勧めてくれた妻には感謝です。

 

倉敷の街並み、母と私