御伽草子 一本菊(ひともとぎく) 下-21
(・・・いそぎ あけよと いひければ。はりまのさんみの)
もとよりといへば。門 あけぬ やがて車 yりよせて。はや/\
めせと 云とき。ひめ君。ごんのせうしやう。うれしと ゆめの心ち
して。とる物もとりあへず。いそぎ車にめして。にげ出つ。宮
は。御くるまに のりうつり給ひて。ひめ君 ひざのうへに かきの
せ。御かほ/\ あはせ。あなゆひし。などや いかなる所に おは
すとも。かぜのたよりにも しらせたまはざらんと。うら
みさせ給へば
たよりにも いはまほしさを やまかせの
岩まの水に せかれけるかな
宮 これをきこしめして
せかれける 岩まの水を しらすして
(もらさすとのみ いのりけるかな)
宮、姫君を膝の上に抱っこして、
顔と顔を合わせ、チュッチュッしながら、
「どうしてたの??」
「岩間・言わ間」ほしくても、言えなかった辛さ。
「ごめんね、知らなかったんだよ!」
コロリン師匠