一本菊 上-13 | コロリンの御伽草子-2

コロリンの御伽草子-2

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御伽草子 一本菊(ひともとぎく)上-13

(・・・ゆはんほどに 母)
女御殿の御かたへも。きこえんこそ はづかしく思へなんどおぼせ
ども。わすられず。御心よはきにつけても。なさけのほど あらは
れて たゞ一すぢにおもふ也。かくて日数もふるほどに。宮のうち
しづかに。よろづ物あはれなるひるつかた。ときは。おさなき心に。宮の
おぼしめし しづみ給へるを。あはれに思ひまいらせ。まぢかくまいり
て。やう/\さて。此御事はしらけて。やませ給ふべきか。つねはゆき
て見るに。かひ/\゛しく。とがむべき。さふらひなんどもさふらはず。なか
/\御文など。候はんよりも。たゞ をしていらせ給へかし。しかも
今夜は。兵衛のすけ。ゐんちうの御とのゐ。殿上に侍る也 たれか。くる
まともなく。あまたいでいり候へば。うちまぎれさせ給ひて。くるまを
ば。ちうもんに しのびたてさせ給ひて。女ばうたち。御とのあぶらなと

母女御殿=兵部卿の宮の母親
たゞ をしていらせ給へかし=ただ押して入らせ給え。「かし」は強める言い方。
ゐんちうの御とのゐ=院中の御宿直、 夜間貴人のそばに侍して不寝番をすること。
くるま=牛車
ちうもん=中門、寝殿造りで、中門廊の途中に設けられた門。
御とのあぶら=大殿油、宮中や貴族の寝殿で用いる、油でともす灯火、その油。

ときは、大胆なことを言い出しましたね。
「姫の所へ、押し入っちゃえ!」と。
さあ!どうなるでしょう??
コロリン師匠