御伽草子・よこ笛艸帋
(・・・其後 音)も せざりけり。横笛 是を み給ひて。なさけなの 有様や昔に かはらで。いまも ちぎらんと いはゞこそ。かはりしすがたたゝ 一め みせさせ給へと。しぐれに ぬれぬ まつだにも。又いろ かはる事も有。火の中 水のそこまでも。かはらじと こそ 思ひしに。はやくも かはる心かな。ありし 情をかけよと。いはゞ社(こそ)自も ともに さまをかへ。おなじあんじつに すまゐして。御身ははなを つむならば。自は みづを
むすび。ひとつ はちすの えんと ならばやと思ひ。是迄 たづねて まいり。ふさいは 二世のちぎりと 聞しかど。今生のたいめんさへ かなふまじきか。あさましや。おやの ふけうを こうふりて。かやうに ならせ給へば。みつからを ふかく。うらみさせたまふも ことはりなり。思へば 又みづからは。御身ゆへに ふかき思ひにしづみ。たがひに 思ひ ふかゝるべしと。なみだを ながし申やう、さても いにしへは。くもを うごか
しぐれに ぬれぬ まつだにも=わがこひは 松をしぐれの そめかねて まくずがはらに 風さはぐなり （新古今・前大僧正慈円）
夫婦の約束もすっぽかして、
対面すらしない。
こら～！滝口殿。
出てこ～～い！
コロリン師匠