2023.4.23 エアロフォンイベント(通称「カワサキ会」)によしぬぬさん(察しろ)が参加してきたようです。
主催はEWIとエアロフォンの両刀使いでEWIイベントにも積極的に参加してるカワサキさん。
こちらのイベントは新宿ペペ店で行われていた「エアロフォンオーケストラ」のOB/OG主体の集まりで、今回で3回目だそうです。
場所はよしめめもよくEWIイベントで使わせてもらってる「フラットさんとこ」事、Art Space & Cafe Musa。
勝手知ったるなんとやらですが、本当に良いお店。フードもドリンクも美味しいし、素敵な雰囲気のお店で音楽を楽しめる、居心地がハンパ無く良いお店なのでみんな通いましょう!(つーかもう住もう・・・)
(フードは順に全攻略するべく毎回違うの頼んでる)
当時のメンバーは当時演奏した曲を吹いたり、ご新規メンバーはカラオケバックに吹いたり、セッションしたり・・・。
島村ペペ関連の方という事で見知った顔や懐かしい顔(エアロマンおった)もあって終始和やかな会だったそうです。
(まっつん、よしぬぬさんにはハートなんだな・・・)
中にはネットでよくみる緑の髪の変な・・・いや「普通の」ウィンドシンセ奏者(こう言わないと後で怒)がいたり。
(道端で魔道具売ってそう)
(よしぬぬさんに食われて満足げな顔してます)
ちなみに前日がお誕生日だったそうでケーキのサプライズがあったり。
このケーキがまた美味しいんだ・・・。
和気藹々とした中開催されたイベントですが、EWI会との違いも結構あるようです。
まず印象的なのは装備の過多。
外部音源だの外掛けのエフェクターだのしゃらくさい物を使ってる人は一人も無し。
ストンプがズラっと並んでいないと落ち着かないだの暖気の時間が欲しいだのヘッドアンプ無きゃ歪まないだの果てはモジュラーシンセ持ち込む奴がいたり頭おかしいのが多いEWI会とは光景が全然違うようです。
そして生音系が多いのも特徴。
フィルターのエグさを競ったり、変なシンセシスして爆笑したり頭のおか
当時使ってたというエアロフォン合奏用の譜面(わざわざアレンジされたんだと)を使っての合奏をしているのもEWIではあまり見ない光景。
この辺何故か譜面が読めないユーザが多いEWIだと成立が難しいし合奏用の譜面自体が無いわけで、ここについては割とうらやましい部分です。
この辺どっちがどうというわけでは無く、きっちり棲み分けが出来上がってるのが面白いなぁと思います。
次回は7/23(日)に予定されているそうなので、エアロフォン吹きの方は参加してみると良いでしょう(よしめめに連絡くれれば取り継ぎます)。
さて、そんな会に参加したよしぬぬさんはAE-10歴1年半ぐらいの初心者で、今回は3年ぶりぐらいのブランクがあったようです。その間何をしていたのでしょうね?
そして運用面としては内蔵音源だけしか使わずエフェクターも外部に頼らないという「如何にもエアロフォンらしいポリシー」との事ですが、演層面では操作系を徹底的に手を入れまくり、シンセサイズ出来ない音源をどうにかこうにか苦労しまくって作り込み、楽器のポテンシャルを余す事無く使い切るストイックなスタイルのようです。
(楽器本体以外はストラップ、譜面代わりのiPad、KOKKOのワイヤレスのみという超ミニマム環境)
そこでよしぬぬさんにインタビューして今回どんなセッティングで、また吹きやすくするためにどんな改造をしたのかを紹介したいと思います(やっと本題)。
【本体の物理改造】
●排気
AE-10を扱う上でまず気になったのは排気だそうです。「ガバガバ息が持っていかれる」「pp領域のコントロールがしにくい」こんな理由から「棚押さえゴム」を排気穴に突っ込んであります。
これ、よしめめもWX7でやっていましたが、めちゃめちゃ効きます。ちょうどEWIぐらいの排気量になるので、息を口横から逃して微細なブレスコントロールも可能になります。
ホームセンターで何種類かのサンプルが置かれているので、一番細い奴(2.8mm)をいただいてきましょう。5cmぐらいの長さがあるので多分一生使い切らないんじゃないかと。
●オクターブキー
AE-10のオクターブキーは正直微妙な設計です。とにかくピロ音が出まくります。
これはサムレストとオクターブキーの高さがツライチな上、オクターブキーの位置・形状が悪くよくスッポ抜けるしピロ音多発します。そこでよしぬぬさんは「形と高さで操作性を上げよう」と思い、コルクを使って自作でキーの高さや形状を吟味したとの事。一番下のオクターブキーが無改造なのは「何をどうやってもこのキー使えなかった」そうで、低音域は切り捨てたようです。
但し今回のイベントで低音パートを初見でやる事になった時無茶苦茶困ったようなので更に何かしらの対策を施すとキレてました。
(色んな角度から。トライ&エラーの苦労が見てとれます)
ちなみにコルクはホムセンで手に入るこんなのをハサミで切ったりヤスリで削って仕上げ、両面テープで固定しています。
●リード
初期の頃のAE-10はデフォルトで何かの間違いかのようなぺなっぺなのリードが付いてきます。後半厚いリード付きのマウスピースが付くようになった事を考えると、Roland側も間違いに気付いたのでしょう。
(吹いてると唇にくっついて、口を離した時ぺいんってなる薄さ)
じゃあ試しに変えてみるべかと購入しようとすると、このマウスピース5,500円とか結構するんですよね(リードだけ売ってくれ)。
なのでよしぬぬさんはアレコレと色んな厚みやしなりの物を試し、最終的にはどこのご家庭にもある「MOのケース」が最適解だと気付いたそうです。
みなさんも真似するのであればその辺に転がってるMOのケースを使う事をお勧めします。
もとのリードをMOのケースに合わせ、それを定規代わりにしてプラカッターで採寸した上で切断しヤスリで仕上げ。口に直接当たる物なので角はしっかり面取りします。
その上で穴を2ヶ所開けて作るのですが、中心が多少ズレてもあとでヤスリでコジって広げれば良いので神経質にしなくても大丈夫との事。
リードの厚い新マウスピースはサイズも一回り大ぶりになっており、咥えるサイズとしては旧マウスピースの方がメリットあったりするので、工作出来る人にはお勧めだそうです。
(汚れが目立つのが難点)
●リードレバー
本来は真っ直ぐ→かくん→真っ直ぐという綺麗なリードレバーもよしぬぬさんの手にかかればご覧の通り。かくんが多過ぎてもはや曲線になっています。
これは「何をやっても一向に効かないリップベンド」に業を煮やし、「そういえばよしめめがリリコンは曲げてナンボって言ってたー」と物おじせず調整しまくった結果だそうです。
AE-10のバイトセンサーはリードレバーが押された際反応する範囲があり、リードレバーが浅すぎても深すぎても反応しません。中間部分にわずかに反応するポイントがあるので、自分のアンブシュアで咥えた時、離した時そこへ来るよう死ぬ気で調整しましょう。
●サムフック(サムコントローラー対策)
「親指にもうひとつ関節が無いと使えない」と噂されるAE-10のサムコントローラーですが、これはサムフックに親指を当てた時の距離が遠すぎるんですよね。
なので、サムフックにもコルク貼ってカサ増ししてます。
これにより「好きな時にベンドや左右のギミックに突入出来るようになった」とよしぬぬさんはおっしゃっています。
但しベンド幅の微妙な調整は難しく、速い速度でベンドする時は設定した最大幅でしかベンディング出来ないとの事。
この辺EWIユーザはナイル・スタイナーに感謝し魂を捧げましょう。
そしてサムコントローラには左右方向の誤爆の危険もあります。
実はよしめめはAE-10が出た当初「やられた!」と思ってました。過去「ぼくがかんがえたさいきょうのうぃんどしんせ」にもPCのポインティングデバイスのような物を付けて上下左右でコントロール出来るようなものを考えていましたが、これは実際触ってみて「上下に集中させないとダメ」とAE-10のお陰で分かりました。
Rolandさんも同じ気持ちだったようで、10よりあとの機種は全てベンドはWXみたいなホイール方式になってます・・・。机上の空論ではダメだと気付かせてくれてアレですが、ちゃんとテストプレイはし(ry
よしぬぬさんも左右方向を殺すべくプラ板でレールを付けた事もあるようですが、肝心のシンセ系がアレ過ぎて「和音のギミックぐらい無いとアカン」という事で身体を慣らす方向で頑張ったそうです。
【設定系】
●バイトセンサーのピッチモード
よしぬぬさんはオートビブラートが大嫌いなご様子。ビブラートの周波数が一定で自由な表情付けが出来ないのはあり得ないと力説しており、音程と音量をあれこれ組み合わせた人力でのビブラートは必須と考えているようです。
AE-10はいくつかのモードがありますが、PITCI 1モードでリリコンやWXのようなピッチベンドをしようとしても、ソフトのバグなのか設計的に問題がある(電磁石の防水が考えられておらず濡れるのが原因?)のか「ベンドダウンするとピッチが戻らなくなる」のが仕様です(AE-05,20,30は改善されている)。
ファームのアップデートで多少改善されたとは言いますが、おそらくソフトの改変だけでは解消することができなかったんでしょう。正直改善されたと言えるレベルでは無いと思います。ここはAE-10最大の弱点です。
よってよしぬぬさんはせっかくのリップベンド構造であっても「PITCH 2モード」、つまり「噛むと一回上がって戻る波が出て、離すと一回下がって戻る波が出る」というどこかで聞いた事のあるビブラート方式で吹いているんだそうです。
Rolandさんはナイル・スタイナーに感(ry
まぁそれでも「効いてほしい時に効かなくなる」は健在なんだそうですが。
●運指登録
AE-10は運指の自由度が少なく、ほとんどサックスに合わせた運指となります。
一応多少自由度の高い「ウィンドシンセ運指」なるモードもあるのですが、これはこれで「一体どこの“ウィンドシンセ”が採用してるのか?」としか思えない程度の「自由度」かつ見たことの無い運指のため、よしぬぬさんは基本となるサックス運指に対して運指を登録する事にしたそうです(10個まで登録可能)。
以下がその運指。
○ラ+右中=G#
○シ+bis+右中=A
○シ+右中=A#
○ド+右中=B
○全開+右中=C
○左小=D
○左小+右小=D#
○HighF+ソ=E
○HighF+ラ=F
○HighF+ラ+サイドA#=F#
半分がラ・シ・ド・絡みの装飾音符対策ですね。困るのがbisキーの有無によっても登録運指が「異なる物」と捉えられてひとつ枠を取られるというところ。
運指登録はおそらくサックスのフラジオ運指(機種によっても運指が変わるので)用なんだとは思いますが、それにしては下3つのように「サックスならどの機種でも当たり前に使う運指」が登録されていないのが困りもの。これで更に3つ登録が消え去ります。本当は「ラ+bis+右中=G#」とか「レの右中抜き=D#」とかも登録したいところです。
もう終売になったので気にする必要は無いとは思いますが、中古で古いファームのやつを買って、そこからアップデートしようとすると登録した運指はリセットされるため、登録した運指はどこかにメモ取ることをお勧めします(リアルタイムで食らった)。
【音色について】
よしぬぬさんはエアロフォンであってもほぼ生音系を使う事が無いレベルのシンセジャンキーのようです。気持ちが良いですね。
というか、生楽器系でホーンセクションやフルストリングスしようとしたところ、スーパーナチュラル音は2、3音レイヤーしただけで処理が重くてレイテンシが発生(後日公式にこれ明記された)して使えず、かと言ってPCMで組もうにもスーパーナチュラルで入ってる音色はPCM版が入っていないという禅問答のような状態に陥ったため「電子管楽器であってもウィンドシンセ使いをしよう」と悟りを開いたようです。
まぁ、そのシンセも「フィルターのカットオフにブレスをアサイン出来ない」「というか音量以外を息で動かせない」という即死級の致命傷となっているのですが・・・。
ま、まぁカジュアル派ならこれで満足も出来るのでしょう(きっと)。
という事で、息でカットオフ出来ないシンセを「なんとなく何かが動いている」よう聴いてる側をケムに巻く方法を考えたようです。
レシピは以下の通りなので参考にしてくださいとの事。
トーンでのエディットはハナから捨て去り、主にレイヤーを使ったエディット・・・というかシンセサイズですら無い単なる設定ですね。
●メイン音色
008:Saw Lead
をレイヤーで3つ並べます。
そのうちの2つのピッチを上下に大きく広げ、所謂シンセブラスっぽさを作ります。
最後のひとつはオクターブ上にして倍音代わりに薄く鳴らします。こうする事でペラペラの鋸歯状波の補完になります。
更にアナログっぽさを出すため、デチューンした2つの波形の片方に一番最小の深さ(1)と一番最大の長さ(63)に設定したLFOでピッチを揺らします。位相がズレるわけじゃ無いのでコーラス感は出ませんがアナログ特有のゆらぎみたいなのを再現です。
これにMFX2で0.38msのショートディレイを少々長めのフィードバックで入れます。Dry/Wet比は50:50。原音とディレイ音が同量です。
所謂いつものダブリングですが、フィードバックを普段より長めにする事で、追いかけてきた音がぶつかり合い音量だけ増減してもダイナミクスが多少ついたような気持ちになれます。
ようは音が大→小となった際ぶつかる音に変化がかかるためなんとなく息での情報が追加される感じです。
これに深く短いホールリバーブを入れ、MFX1をEQにしていい具合にローカット。これでそれなりに“立つ”音が作れます。
●ギラギラ音色
メイン音色で設定した3つめの「オクターブ上の音」を逆に「オクターブ下」にし、シンセブラスとの音量バランスを「シンセブラスの方がしっかり聴こえる」ぐらいに調整します。
エフェクトの設定は全く同じ。
●矩形波音色
009:Sqr Lead
を4つ使います。
1つはピッチセンター。2つは若干デチューン。最後の1つは倍音代わりのオクターブ上。
これに先述のショートディレイ。但しこちらはフィードバックを若干少なく、Dry/Wet比も75:25程度と原音多めに。矩形波の場合こうしないと結構うるさくて透明感が奪われちゃうので。
とまぁ作った音色は3つほど。まぁ大抵の場合この3つあれば最低限事足りるのでよしぬぬさんなかなか良いチョイスかと。
正直AE-10のアナログ波形は、常時短いポルタメントがかかっていたり(これ昔からよしめめもPCMで良くやる手法)、ちゃんと考えられてる部分もあるんですよね。。
そんな折角のアナログ波形もブレスをカットオフにアサイン出来ないため全てが帳消しになってます。
息でカットオフが動かない以上レゾナンスはあるのに使えないとか。
ちなみにAE20や30に積んであるZEN-Coreエンジンの場合息によるアサインは自由に行えるようになっているため、AE-10はひょっとしたらプリセットシンセとして作ったのかなぁ・・・なんて。
あとエアロフォンシリーズって全般的にアナログ波形の元音色がどうにも丸いんですよね。
ZEN-Coreも同じ方向なのでそういう社風なのかもしれないけど、もう少しジャキっ・ブリっとしたオシレータだと良いんだけどなぁ・・・。混ぜる分には良いんだけど単体で使うにはちょっと抜けて来ないし、元の倍音量が少ないとカットオフの効きも相対的に悪くなるし。
エアロフォンってソリスト用途が多いだけにここは全機種通して改善した方が良い部分なんじゃないかなぁなんて思います。
●和音設定
AE-10ではサムコントローラーの左右にギミックを仕込む事が出来ます。
そこでよしぬぬさんは少しでも表情が付けられるよう、以下の通りの和音が出るよう設定しています。
○左側:-5シフト(ラッチ)
○右側:+5シフト(モーメンタリ)
左側を-5にしたのは押したり解除がしやすいからです。
-5、つまり原音がドだった場合はソの音。パワーコードですね。
2音のパワーコードの場合、よしぬぬさんは下に和音を配置するのが良いと思っているようですね。よしめめもEWIでインターバル機能使って和音出す場合は大抵-5で使っています。
パワーコードなので、どんな調であっても合うし、和音を下に下げた方が「自分が今どっち吹いてるか混乱する」を回避出来ます。
ラッチとは一度押したらオン、もう一度押せば和音解除となるモードです。つまり一度入ったら固定化させる用。
右側は原音がドだった場合はファの音。つまりSus4です。
こちらは-7ではなく+5を出します。広がりが出来るし、ヒステリックな感じがして良いです。
但しこちらはバックと合わない場合もあるし、そもそもSus4は常時使う音でも無いため、モーメンタリ(押してる間だけ和音が出て離せば消える)で出し入れさせるようにしています。
さて、よしぬぬ氏のセッティングいかがだったでしょうか?
文句を言いつつもなんとかして使いこなしたろというプライドの高い姿勢はカッコいいし美しいと思いませんか?
思いますよね?
思ってあげてください(血涙)






















