今回のLink MEは特別編として経済コラム「先週の円ドルレート」を掲載します。日末値変化で見た20246月第2週最終取引日67()から6月第3週最終取引日614()の円ドルレート変動の原因を、東京外国為替市場の日次データを用い、日経新聞電子版マーケット欄為替・金融記事に基づき解説します。

 

 日次とは、1ごとのデータであることをそれぞれ意味しています。東京外国為替市場日次データは、午後5時の取引終了時点での円ドルレート終値となります。円ドルレート終値は、1ドル=123.35円~123.45のようにで表示されます。幅ではなく1つの数字で表示する場合は、1ドル= 123.35円と小さい数値円高・ドル安の数値が使用されます。

 

 グラフには202467()614()までの日次データ青の折れ線で記載されています。縦軸の円ドルレートの数値()方向へ行くほど小さ(大き)くなるように、言い換えると円高・ドル安(円安・ドル高)になるように、描かれています。202467()の円ドルレートは1ドル=155.41614()157.66なので、202467()614()1週間の円ドルレートの変動2.25円安・ドルであったことが、グラフから読み取れます。

 

 

 2024610()11()14()前週末比並びに前日比各1.580.350.40円安・ドル高12()前日比0.08円高・ドル安となった一方で、13()前日比横ばいとなったことが、グラフから読み取れます。その結果、2024年先月末531()終値157.14と比べると20246月第3週最終取引日614()0.52円安・ドル高となりました。

 

 途中の行き過ぎた円高・ドル安や円安・ドル高に戻った日を以下のように除外して、傾向線を求めます。202467()155.41から614()157. 66までの変動範囲の中で、202467()155.41より円安・ドル高となる最初の取引日次にその日より円安・ドル高となる日614()157. 66までそのような手順を繰り返すと、610()156.9911()157.34が該当することを、グラフより読み取れます。したがって、202467()155.4110()156.9911() 157.3420246月第3週最終取引日である14() 157. 66円を結ぶ薄茶色のグラフ傾向線となります。

 

 202462週最終取引日67()155.41から、いわば一直線6月第3週最終取引日である614()2.25円安・ドル高となったと想定したのが、傾向線です。

 

 20246月第3週の円ドルレートは、週明け後2日間連続で大幅な円安・ドル高でスタートし、その後かすかな円高・ドル安へ転換した後横ばいで推移、しかし取引最終日には円安・ドル高の揺り戻しが再度到来、5月米雇用統計結果・欧州議会選での右派躍進・日銀金融政策決定会合における金融政策正常化への遅れがもたらした日米金利差拡大に基づく円安・ドル高が圧倒し、最終的にはスタート時点の円ドルレートを2.25円も下回る大幅な円安・ドル高で終わる、微細な循環的変動となりました。このような傾向線の背後にある2.25円安・ドル高原因を、日経新聞電子版マーケット欄為替・金融記事に基づき検討すると、以下のようになります。

 

 第1は、5月米雇用統計は前月比の雇用者増加数や平均時給の伸び率が市場予想を上回ったので、米労働需給はなおも逼迫インフレ圧力が残るとの見方に基づき米連邦準備理事会(FRB)による早期の利下げ観測が弱まり、日米金利差拡大を見込む円売り・ドル買い

が活発化したことです。

 

 第2は、国内輸入企業などの円売り円相場重荷となったことです。

 

 第3は、欧州議会選で極右を含む右派躍進した結果を受け、マクロン大統領国民議会(下院)解散選挙の実施を発表したので、選挙による政治リスク財政悪化の懸念によるフランス国債売りが出たのを始めとしてユーロ圏国債利回り上昇したのに加え、FRBによる利下げ開始が遅れるとの見方も米金利上昇圧力となり、米長期金利が4.47%と前週末と比べ0.04%上昇し、日米金利差拡大を意識した円売り・ドル買いが出たことです。

 

 第4は、日銀金融政策決定会合における追加利上げの見送りと次回7月会合での市場参加者の意見確認も踏まえた今後1〜2年程度の具体的な国債買い入れ減額方針策定を受け、市場では買い入れ減額方針は想定内との見方が多く。減額が先送りされたとして当面は日本の低金利環境下で日米金利差が開いた状態が続くとの見方を通じて、円売り・ドル買いが膨らんだことです。