今回のLink MEは特別編として経済コラム「先週の円ドルレート」を掲載します。日末値変化で見た20245月第5週最終取引日531()から6月第2週最終取引日67()の円ドルレート変動の原因を、東京外国為替市場の日次データを用い、日経新聞電子版マーケット欄為替・金融記事に基づき解説します。

 

 日次とは、1ごとのデータであることをそれぞれ意味しています。東京外国為替市場日次データは、午後5時の取引終了時点での円ドルレート終値となります。円ドルレート終値は、1ドル=123.35円~123.45のようにで表示されます。幅ではなく1つの数字で表示する場合は、1ドル= 123.35円と小さい数値円高・ドル安の数値が使用されます。

 

 グラフには2024531()67()までの日次データ青の折れ線で記載されています。縦軸の円ドルレートの数値()方向へ行くほど小さ(大き)くなるように、言い換えると円高・ドル安(円安・ドル高)になるように、描かれています。2024531()の円ドルレートは1ドル=157.1467()155.41なので、2024531()67()1週間の円ドルレートの変動1.73・ドル安であったことが、グラフから読み取れます。

 

 

 202463()4()7()前週末比並びに前日比各0.031.730.86円高・ドル安となった一方で、5()6()前日比各0.760.13円安・ドル高となったことが、グラフから読み取れます。その結果、2024年先月末531()終値157.14と比べると20246月第2週最終取引日67()1.73円高・ドル安となりました。

 

 途中の行き過ぎた円高・ドル安や円安・ドル高に戻った日を以下のように除外して、傾向線を求めます。2024531()157.14から67()155. 41までの変動範囲の中で、2024531()157.14より円高・ドル安となる最初の取引日次にその日より円高・ドル安となる日67()155.41までそのような手順を繰り返すと、63()157.115()156.14が該当することを、グラフより読み取れます。したがって、2024531()157.143()157.115()156.1420246月第2週最終取引日である7()155.41円を結ぶ薄茶色のグラフ傾向線となります。

 

 202455週最終取引日531()157.14から、いわば一直線6月第2週最終取引日である67()1.73円高・ドル安となったと想定したのが、傾向線です。

 

 20246月第2週の円ドルレートは、週明け後2日間連続で大幅な円高・ドル安でスタートし、その後2日間連続の円安・ドル高へ転換、しかし取引最終日には円高・ドル安の揺り戻しが再度到来、米景気減速に基づく米連邦準備理事会(FRB)の利下げ期待への高まりと実質賃金の持続的低下による日銀金融政策の早期正常化期待の後退は拮抗しましたが、最終的にはスタート時点の円ドルレートを1.73円上回る円高・ドル安で終わる、目まぐるしい循環的変動となりました。このような傾向線の背後にある1.73円高・ドル安原因を、日経新聞電子版マーケット欄為替・金融記事に基づき検討すると、以下のようになります。

 

 第1は、米サプライマネジメント協会(ISM)が発表した5月米製造業景況感指数は48.7と、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(49.6)に反して前月(49.2)に比べ低下した

のを受け、米景気減速が意識されFRB利下げ観測が再燃して米長期金利が大きく低下し、日米金利差縮小を意識した円買い・ドル売りの勢いが強まったことです。

 

 第2は、週間米新規失業保険申請件数は22万9000件とダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想を上回ったのに加え、13月期労働生産性指数(改定値)は企業の賃金負担を示す単位労働コストの前期比年率の上昇率が4.0%と速報値より下方修正となったのを受け、米労働需給が緩みFRB利下げへ動くのに時間を要するとの見方が後退し、円買い・ドル売りが入ったことです。

 

 第3は、7日発表の5月米雇用統計米労働需給の軟化を示す内容になるとの思惑も、円相場押し上げたことです。