今回のLink MEは特別編として経済コラム「先週の円ドルレート」を掲載します。日末値変化で見た2024年5月第2週最終取引日5月10日(金)から5月第3週最終取引日5月17日(金)の円ドルレート変動の原因を、東京外国為替市場の日次データを用い、日経新聞電子版マーケット欄為替・金融記事に基づき解説します。
日次とは、1日ごとのデータであることをそれぞれ意味しています。東京外国為替市場の日次データは、午後5時の取引終了時点での円ドルレート終値となります。円ドルレート終値は、1ドル=123.35円~123.45円のように幅で表示されます。幅ではなく1つの数字で表示する場合は、1ドル= 123.35円と小さい数値、円高・ドル安の数値が使用されます。
グラフには2024年5月10日(金)~5月17日(金)までの日次データが青の折れ線で記載されています。縦軸の円ドルレートの数値が北(南)方向へ行くほど小さ(大き)くなるように、言い換えると円高・ドル安(円安・ドル高)になるように、描かれています。2024年5月10日(金)の円ドルレートは1ドル=155.68円、5月17日(金)155.81円なので、2024年5月10日(金)~5月17日(金)1週間の円ドルレートの変動は0.13円の円安・ドル高であったことが、グラフから読み取れます。
2024年5月13日(月)・14日(火)・17日(金)が前週末比並びに前日比各0.20、0.57、1.40円の円安・ドル高となった一方で、15日(水)・16日(木)は2日間連続で前日比各0.36 、1.68円の円高・ドル安となったことが、グラフから読み取れます。その結果、2024年先月末4月30日(火)終値156.85円と比べると、2024年5月第3週最終取引日5月17日(金)は1.04円の円高・ドル安となりました。
途中の行き過ぎた円高・ドル安や円安・ドル高に戻った日を以下のように除外して、傾向線を求めます。2024年5月10日(金)155.68円から5月17日(金)155.81円までの変動範囲の中で、2024年5月10日(金)155.68円より円安・ドル高となる最初の取引日、次にその日より円安・ドル高となる日、5月17日(金)155.81円までそのような手順を繰り返すと、該当する取引日がないことを、グラフより読み取れます。したがって、2024年5月10日(金)155.68円と2024年5月第3週最終取引日である17日(金)155.81円を結ぶ薄茶色のグラフが傾向線となります。
2024年5月第2週最終取引日5月10日(金)155.68円から、いわば一直線で5月第3週最終取引日である5月17日(金)に0.13円の円安・ドル高となったと想定したのが、傾向線です。
2024年5月第3週の円ドルレートは、週明け後2日間連続の円安・ドル高でスタートし、その後2日間連続で大幅な円高・ドル安の揺り戻しが到来、取引最終日には再び円安・ドル高へ回帰、米インフレ圧力の先行きを巡って対立するデータの発表と日銀の金融政策正常化に対する消極的姿勢が円ドル相場を動かしましたが、円安・ドル高圧力が円高・ドル安の勢いをごくわずか上回り、最終的にはスタート時点の円ドルレートを0.13円下回る円安・ドル高で終わる、目まぐるしい循環的変動となりました。このような傾向線の背後にある0.13円の円安・ドル高の原因を、日経新聞電子版マーケット欄為替・金融記事に基づき検討すると、以下のようになります。
第1は、ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁がロイター通信とのインタビューで、「現時点で金融政策のスタンスを変更する理由があることを示す指標はみられない」と述べたと伝わり、過度な米利下げ観測が修正されたのを受け米長期金利が上昇し、日米金利差が意識され円売り・ドル買いが優勢だったことです。
第2は、日銀は残存期間「5年超10年以下」など4本の国債買いオペを通知し、購入予定額をいずれも前回より据え置いたので、日銀が金融政策の正常化にそれほど前向きなわけではないとの見方の広がりが、円売り・ドル買いにつながったことです。