今回のLink MEは、先週の円ドルレート[122]~[126]に基づき、月末と週末の日次データを用いて2024年3月の円ドルレートの変動と原因について検討し、月次月末値の変化を日経新聞電子版マーケット欄為替・金融記事に基づき解説します。
グラフには2024年2月29日(木)から2024年3月29日(金)までの月末と週末の日次データが青の折れ線で記載されています。縦軸の円ドルレートの数値が北(南)方向へ行くほど小さ(大き)くなるように、言い換えると円高・ドル安(円安・ドル高)になるように、描かれています。2024年2月29日(木)の円ドルレートは1ドル=149.66円、3月29日(金) 151.33円なので、月末値の変化で見ると、2024年3月1ヶ月間の円ドルレートの変動は1.67円の円安・ドル高であったことが、グラフから読み取れます。
2024年3月1日(金)・15日(金)・22日(金)が前月末比並びに前週末比各0.26、0.70、2.82円の円安・ドル高となった一方で、8日(金)・29日(金)が前週末比各2.62、0.06円の円高・ドル安となったことが、グラフから読み取れます。その結果、2024年2月末終値2月29日(木)149.66円と比べると、2024年3月第最終取引日3月29日(金)は1.67円の円安・ドル高となりました。
途中の行き過ぎた円高・ドル安や円安・ドル高に戻ったものを除外し、2024年2月29日(木)149.66円からスタートして3月29日(金)151.33円に1.67円の円安・ドル高を推し進めた週末日を取り出した、薄茶色の傾向線もグラフに描かれています。2024年2月29日(木)149.66円から3月29日(金) 151.33円までの変動範囲の中で、2024年2月29日(木) 149.66円より円安・ドル高となる週末取引日を日付順に探すと、2024年3月1日(金) 150.49円のみが該当することを、グラフより読み取れます。したがって、2024年2月29日(木)149.66円、3月1日(金) 150.49円と2024年3月取引最終日である3月29日(金) 151.33円を結ぶグラフが傾向線となります。
2024年2月第5週最終取引日2月29日(木)149.66円から、いわば一直線で2024年3月29日(金) 151.33円に1.67円の円安・ドル高となったと想定したのが、傾向線です。
2024年3月の円ドルレートは、第1週の円安・ドル高からスタートし、第2週は大幅な円高・ドル安へ振れますが、第3週と第4週は2週連続で第2週の大幅な円高・ドル安を一掃する円安・ドル高へ回帰し、最終第5週は再び微かな円高・ドル安へ戻り、最終的には2024年2月第5週2月29日(木) 149.66円を1.67円下回る、円安・ドル高の勢いが円高・ドル安のそれをくつがえす循環的変動となりました。このような傾向線の背後にある1.67円の円安・ドル高の原因を、日経新聞電子版マーケット欄為替・金融記事に基づき検討すると、以下のようになります。
第1は、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数の上昇を受けて、日経平均株価が大幅に上昇し、投資家心理が一段と強気に傾くとして「低リスク通貨」円売りが出たほか、日本株を運用する海外投資家が為替リスク回避目的で追加の円売りを出すとの思惑も、円相場を下押ししたことです。
第2は、週間新規失業保険申請件数は21万件と市場予想(21万3000件)を下回ったので労働市場の底堅さが意識され、2月米中古住宅販売件数も前月比9.5%増と市場予想(1.3%減)に反して増えるなど底堅い米景気を受け、円売り・ドル買いが優勢だったことです。