今回のLink MEは特別編として経済コラム「先週の円ドルレート」を掲載します。日末値変化で見た2024年2月第4週最終取引日2月22日(木)から3月第1週最終取引日3月1日(金)の円ドルレート変動の原因を、東京外国為替市場の日次データを用い、日経新聞電子版マーケット欄為替・金融記事に基づき解説します。
日次とは、1日ごとのデータであることをそれぞれ意味しています。東京外国為替市場の日次データは、午後5時の取引終了時点での円ドルレート終値となります。円ドルレート終値は、1ドル=123.35円~123.45円のように幅で表示されます。幅ではなく1つの数字で表示する場合は、1ドル= 123.35円と小さい数値、円高・ドル安の数値が使用されます。
グラフには2024年2月22日(木)~3月1日(金)までの日次データが青の折れ線で記載されています。縦軸の円ドルレートの数値が北(南)方向へ行くほど小さ(大き)くなるように、言い換えると円高・ドル安(円安・ドル高)になるように、描かれています。2024年2月22日(木)の円ドルレートは1ドル=150.12円、3月1日(金)150.49円なので、2024年2月22日(木)~3月1日(金)1週間の円ドルレートの変動は0. 37円の円安・ドル高であったことが、グラフから読み取れます。
2024年2月26日(月)・28日(水)・3月1日(金)が前週末比並びに前日比各0.34、0.39、0.83円の円安・ドル高となった一方で、2月27日(火)・29日(木)が前日比各0.11円、1.03円の円高・ドル安となったことが、グラフから読み取れます。その結果、2024年先月末2月29日(木)終値149.66円と比べると、2024年3月第1週最終取引日3月1日(金)は0.83円の円安・ドル高となりました。
途中の行き過ぎた円高・ドル安や円安・ドル高に戻った日を以下のように除外して、傾向線を求めます。2024年2月22日(木)150.12円から3月1日(金)150.49円までの変動範囲の中で、2024年2月22日(木)150.12円より円安・ドル高となる最初の取引日、次にその日より円安・ドル高となる日、3月1日(金)150.49円までそのような手順を繰り返すと 、2月26日(月)150.46円のみが該当することを、グラフより読み取れます。したがって、2024年22日(木)150.12円、2月26日(月)150.46円と2024年3月第1週最終取引日である1日(金)150.49円を結ぶ薄茶色のグラフが傾向線となります。
2024年2月第4週最終取引日2月22日(木)150.12円から、いわば一直線で3月第1週最終取引日である3月1日(金)に0.37円の円安・ドル高となったと想定したのが、傾向線です。
2024年2月第5週・3月第1週の円ドルレートは、週明け後円安・ドル高でスタート、その後円高・ドル安へ転換、そして再度の円安・ドル高へ回帰、取引最終日の前日には再び大幅な円高・ドル安が復活しますが、取引最終日には決定打となる3度目の円安・ドル高を迎え、最終的にはスタート時点の円ドルレートを0.37円下回る円安・ドル高で終わる、円安・ドル高と円高・ドル安が交互に入り乱れる循環的変動となりました。このような傾向線の背後にある0.37円の円安・ドル高の原因を、日経新聞電子版マーケット欄為替・金融記事に基づき検討すると、以下のようになります。
第1は、ブラジルのサンパウロで開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議後の記者会見で、植田和男日銀総裁が物価安定目標の達成に慎重な姿勢を示したので、日銀による早期の政策正常化観測がやや後退し、日米金利差が拡大した環境が続くとの見方に基づき円売り・ドル買いが優勢となったことです。
第2は、日経平均株価が大幅高で推移し2月27日付けの過去最高値を上回ったのに加え、「日本株に投資する海外勢が為替差損ヘッジ(回避)目的で円売りを増やすとの観測が強まり、円安が進んだことです。
第3は、1月米個人消費支出(PCE)物価指数はエネルギーと食品を除くコアが、市場予想と同水準の前年同月比上昇率で2.8%に留まったのを受け、FRBの利下げ先送り観測は後退したが、米長期金利の低下幅がわずかだったので日米金利差拡大は続くとの見方は残り、円相場の重荷となったことです。