今回のLink MEは特別編として経済コラム「先週の円ドルレート」を掲載します。日末値変化で見た20241月第4週最終取引日119()から2月第1週最終取引日22()の円ドルレート変動の原因を、東京外国為替市場の日次データを用い、日経新聞電子版マーケット欄為替・金融記事に基づき解説します。

 

 日次とは、1ごとのデータであることをそれぞれ意味しています。東京外国為替市場日次データは、午後5時の取引終了時点での円ドルレート終値となります。円ドルレート終値は、1ドル=123.35円~123.45のようにで表示されます。幅ではなく1つの数字で表示する場合は、1ドル= 123.35円と小さい数値円高・ドル安の数値が使用されます。

 

 グラフには2024126()22()までの日次データ青の折れ線で記載されています。縦軸の円ドルレートの数値()方向へ行くほど小さ(大き)くなるように、言い換えると円高・ドル安(円安・ドル高)になるように、描かれています。2024126()の円ドルレートは1ドル=147.7722() 146.62なので、2024126()22()1週間の円ドルレートの変動1. 15高・ドル安であったことが、グラフから読み取れます。

 

 

 2024129()31()前週末比並びに前日比各0.020.42円高・ドル安となった一方で、30() 21()2()前日比各0.560.850.18円安・ドル高となったことが、グラフから読み取れます。その結果、2024年先月末131()終値147.65と比べると20242月第1週最終取引日22()1.03円高・ドル安となりました。

 

 途中の行き過ぎた円高・ドル安や円安・ドル高に戻った日を以下のように除外して、傾向線を求めます。2024126()147.77から22()146.62までの変動範囲の中で、2024126()147.77より円高・ドル安となる最初の取引日次にその日より円高・ドル安となる日22()146.62までそのような手順を繰り返すと、2024130()147.2321()146.80が該当することを、グラフより読み取れます。したがって、2024126()147.7730()147.23円 21()146.8020242月第1週最終取引日である2()146.62円を結ぶ薄茶色のグラフ傾向線となります。

 

 202414週最終取引日126()147.77から、いわば一直線2月第1週最終取引日である22()1.15円高・ドル安となったと想定したのが、傾向線です。

 

 20241月第5週・2月第1週の円ドルレートは、週明け後前週末値とほほ横ばいの円安・ドル高のスタート、その後円高・ドル安へ転換、そして再び円安・ドル高へ回帰、取引最終日も含め2日間連続で再度の円高・ドル安へ復帰、最終的にはスタート時点の円ドルレートを1.15円上回る大幅な円高・ドル安で終わる、米インフレ圧力の緩和を受け円高・ドル安が支配する循環的変動となりました。このような傾向線の背後にある1.15円高・ドル安原因を、日経新聞電子版マーケット欄為替・金融記事に基づき検討すると、以下のようになります。

 

 第1は、米政府借入額の1〜3月期見通しは前回の公表分より減少し、米国債需給の悪化懸念が後退した結果、米国債を買う動きにつながったのに加え、米中央軍はシリア国境に近いヨルダン北東部の米軍拠点が無人機による攻撃を受けて多数の死傷者が出たとの発表により、中東情勢を巡る緊張感が高まったのも相対的な安全資産とされる米国債相場の支えとなって米長期金利低下し、日米金利差縮小を意識した円買い・ドル売りが入ったことです。

 

 第2は、ADP(Automatic Data Processing)1月全米雇用リポート非農業部門雇用者数が前月比10万7000人増と市場予想を大きく下回った結果、労働需給緩和を通じてインフレ圧力が和らぐとの見方に基づき米長期金利が低下し、日米金利差縮小を見込んだ円買い・ドル売りが優勢だったことです。

 

 第3は、米連邦準備理事会(FRB)が開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)早期利下げ慎重な姿勢が示されたのを受け、米株式市場でハイテク株を中心に下落した流れが日経平均株価にも及ぶなか、低リスク通貨円買いが出たことです。

 

 第4は、米週間新規失業保険申請件数が市場予想を上回って増加したほか、2023年10〜12月期の米労働生産性指数インフレ圧力の緩和を示す内容だと受け止められた結果、米長期金利は一時3.81%と約1カ月ぶりの低水準となり、日米金利差縮小を意識した円買い・ドル売りが優勢だったことです。