今回のLink MEは特別編として経済コラム「先週の円ドルレート」を掲載します。日末値変化で見た2023年10月第4週最終取引日10月27日(金)から11月第1週最終取引日11月2日(木)の円ドルレート変動の原因を、東京外国為替市場の日次データを用い、日経新聞電子版マーケット欄為替・金融記事に基づき解説します。
日次とは、1日ごとのデータであることをそれぞれ意味しています。東京外国為替市場の日次データは、午後5時の取引終了時点での円ドルレート終値となります。円ドルレート終値は、1ドル=123.35円~123.45円のように幅で表示されます。幅ではなく1つの数字で表示する場合は、1ドル= 123.35円と小さい数値、円高・ドル安の数値が使用されます。
グラフには2023年10月27日(金)~11月2日(木)までの日次データが青の折れ線で記載されています。縦軸の円ドルレートの数値が北(南)方向へ行くほど小さ(大き)くなるように、言い換えると円高・ドル安(円安・ドル高)になるように、描かれています。2023年10月27日(金)の円ドルレートは1ドル=150.15円、11月2日(木)150.38円なので、2023年10月27日(金)~11月2日(木) 1週間の円ドルレートの変動は0.23円の円安・ドル高であったことが、グラフから読み取れます。
2023年10月30日(月)・11月2日(木)が前週末比各0.66 、0.99円の円高・ドル安となった一方で、10月31日(火)・11月1日(水)が2日間連続で前日比各0.79、1.09円の円安・ドル高となったことが、グラフから読み取れます。その結果、2023年先月末10月31日(火)終値150.28円と比べると、2023年11月第1週最終取引日11月2日(木)は0.10円の円安・ドル高となりました。なお、11月3日(金)は文化の日、祝日による取引休業日です。
途中の行き過ぎた円高・ドル安や円安・ドル高に戻った日を以下のように除外して、傾向線を求めます。2023年10月27日(金)150.15円から11月2日(木)150.38円までの変動範囲の中で、2023年10月27日(金)150.15円より円安・ドル高となる最初の取引日、次にその日より円安・ドル高となる日、11月2日(木)150.38円までそのような手順を繰り返すと、10月31日(火)150.28円のみが該当することを、グラフより読み取れます。したがって、2023年10月27日(金) 150.15円、31日(火)150.28円と2023年11月第1週最終取引日である2日(木)150.38円を結ぶ薄茶色のグラフが傾向線となります。
2023年10月第4週最終取引日10月27日(金)150.15円から、いわば一直線で11月第1週最終取引日である11月2日(木)に0.23円の円安・ドル高となったと想定したのが、傾向線です。
2023年10月第5週・11月第1週の円ドルレートは、週明け後円高・ドル安のスタート、その後2日間連続で大幅な円安・ドル高へ転換、そして取引最終日には急激な再度の円高・ドル安へ回帰、最終的にはスタート時点の円ドルレートを0.23円下回る小幅な円安・ドル高で終わる、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール=YCC)再修正と米連邦準備理事会(FRB)の政策金利据え置きを起点とする、激しい攻防の循環的変動となりました。このような傾向線の背後にある0.23円の円安・ドル高の原因を、日経新聞電子版マーケット欄為替・金融記事に基づき検討すると、以下のようになります。
第1は、日銀は金融政策決定会合で、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール=YCC)運用柔軟化を決め、長期金利の上限の「めど」を1%としたうえで変動幅表記を削除し、1%を超える水準を容認した半面、市場の想定に比べて金融引き締めに慎重な「ハト派」的内容にとどまったとの受け止めを通して、円売り・ドル買いが出たことです。
第2は、日銀が大規模な国債買い入れや、機動的なオペ(公開市場操作)の実施による金利操作方針も改めて示した決定を受け、円売りの動きが強まったことです。
第3は、植田和男日銀総裁は記者会見で、「日銀は粘り強く金融緩和を継続する方針」などと改めて述べ、円はじりじりと水準を切り下げたことです。