今回のLink MEは特別編として経済コラム「先週の円ドルレート」を掲載します。日末値変化で見た20239月第5週最終取引日929()から10月第1週最終取引日106()の円ドルレート変動の原因を、東京外国為替市場の日次データを用い、日経新聞電子版マーケット欄為替・金融記事に基づき解説します。

 

 日次とは、1ごとのデータであることをそれぞれ意味しています。東京外国為替市場日次データは、午後5時の取引終了時点での円ドルレート終値となります。円ドルレート終値は、1ドル=123.35円~123.45のようにで表示されます。幅ではなく1つの数字で表示する場合は、1ドル= 123.35円と小さい数値円高・ドル安の数値が使用されます。

 

 

 グラフには2023929()106()までの日次データ青の折れ線で記載されています。縦軸の円ドルレートの数値()方向へ行くほど小さ(大き)くなるように、言い換えると円高・ドル安(円安・ドル高)になるように、描かれています。2023929()の円ドルレートは1ドル=148.76106()148.88なので、2023929()106()1週間の円ドルレートの変動0.12円安・ドルであったことが、グラフから読み取れます。

 

 2023102()3()5()前週末比並びに前日比各0.980.030.20円安・ドル高となった一方で、4()6()前日比各0.930.46円高・ドル安となったことが、グラフから読み取れます。その結果、2023年先月末929()終値148.76と比べると202310月第1週最終取引日106()0.12円安・ドル高となりました。

 

 途中の行き過ぎた円高・ドル安や円安・ドル高に戻った日を以下のように除外して、傾向線を求めます。2023929()148.76から106()148.88までの変動範囲の中で、2023929()148.76より円安・ドル高となる最初の取引日次にその日より円安・ドル高となる日106()148.88までそのような手順を繰り返すと、104()148.84のみが該当することを、グラフより読み取れます。したがって、2023929() 148.764()148.84202310月第1週最終取引日である6()148.88円を結ぶ薄茶色のグラフ傾向線となります。

 

 202395週最終取引日929()148.76から、いわば一直線10月第1週最終取引日である106()0.12円安・ドル高となったと想定したのが、傾向線です。

 

 202310月第1週の円ドルレートは、週明け後2日間連続で円安・ドル高のスタート、その後急激な円高・ドル安へ転換、そして再び円安・ドル高へ回帰、取引最終日には再度の円高・ドル安となり、最終的には11月米雇用統計発表を控えて、スタート時点の円ドルレートをわずか0.12円下回る円安・ドル高がかろうじて支配する、乱高下の激しい循環的変動となりました。このような傾向線の背後にある0.12円安・ドル高原因を、日経新聞電子版マーケット欄為替・金融記事に基づき検討すると、以下のようになります。

 

 ウィリアムズニューヨーク連銀総裁は29日に公開した講演の草稿で、米連邦準備理事会(FRB)金融政策について、「政策金利は目標の水準に達したか、またはそれに近い水準にあると評価している」との認識を示し、インフレ率を2%の物価目標に抑えるため「制限的な金融政策をしばらく維持する必要があると考えている」と述べたので、FRBによる金融引き締めが長引くとして、米金利先高観が根強く日米金利差拡大を見込んだ、円売り・ドル買いが優勢だったことです。