目次19、「殺されかけた人妻」 | カメラマン 兼 作家の備忘録

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あの頃まだJekyllから時々Hydeだった、だが今ではもうすっかりハイド時々ジキルなのだ。

 

 「私、殺されかけたの」

 

唐突に何を言い出すんだこの女・・・と思い、詳しく訊いてみた。

 

「前の彼氏とは二年くらい付き合っていた、行きつけの美容院に勤めていた

カリスマ美容師で・・・・(よくある話だ)

そのうち店の近くにヤリ部屋のアパートを借りて毎日のように○○○をしていた

彼はいつか独立して自分の店を持つのが夢だった。

 

そんな時同じように彼を気に入っているちょっとセレブな女性がいて

どうせなら二人で彼を援助して開店準備金を五百万づつ出してあげようとなったの

彼はものすごく喜んで、店を辞め店舗を探しスタッフにも声を掛けていたの。

 

ところがイザとなったらその女性は旦那に問い詰められお金を出せなくなったの

彼は約束が違うと怒って、その女性の家に行ってトラブルになり逆上した彼は

旦那さんに怪我をさせ、警察沙汰になったの

 

それで私にその女性の分も出してくれってなって、『一千万も出せないわよ』と

言うと興奮してそのヤリ部屋で私を投げ飛ばしたの

その時テレビ台の角に耳から激突し大怪我を負って、血まみれになりながら

病院に駆け込んで治療を受けたが、耳が聞こえないこんなカラダになってしまったの」

 

 

 

 

俺はその話を聞いてこう思った。

 

所々矛盾だらけの話だが、この女も金に物を言わせて男を引き止めるタイプ。

その男に怪我をさせられたことは本当だろう。

 

もう一人のセレブな女・・・・・・・・(これはウソだな)

俺に四千万円あげると言っている女が、一千万円あげるなんて言葉、容易に出るだろう。

 

そのセレブな女の家でトラブルになって・・・・・・(これもウソだろう)

本当は自分の旦那が怪我をさせられたのかもしれない、いつか彼女が言っていた

旦那に「好きなことをしていいけど、大人のルールは守ってくれ」と言われた・・・と。

 

少し呆れていた俺は彼女にこう言った。

「○○○、お前はそういうでかい事を言って男をその気にさせといて、結局約束は

果たせず奈落の底へ突き落とし、恨みを買って男からそういうカラダにされたんだろ?

そういう思ってもいない『ホラ』を吹くのはやめな」と

 

そう言うと・・・「ホラじゃないもん」と言った。

 

 

 

 

 これからもお前の上をいろんな男が通り過ぎていくだろう、

 最後にこれだけは忠告させてくれ。

 

1、旦那が医者とか金持ちとか言うな。

2、何千万あげるとか言うな。

3、旦那や子供たちに○○人の血が混ざっているって絶対に言うな。

 

 俺の忠告を守らないと、今度こそ本当に「殺されてしまうぞ」

 

   そう言って、俺はこの女と別れた。

 

 

 

 

 

待望の第2弾「続・Hyde時々Jekyll」9月1日文芸社より発売

 

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